漢方薬局薬剤師日録(2) 平成17年(2005年)6月〜7月11日

漢方と漢方薬の真実>>漢方薬局薬剤師日録(2)


6月
6月1日(水曜日)大変よく効く水虫の薬は、全国どの地方でも売っています! 肝障害を生じる危険性のある内服薬を、医師に処方してもらう必要などありません!(使用するのは爪水虫でも重症者に限るべきでしょう


 この日録で、再三再四書いているのが、水虫薬の「華陀膏」と「土槿皮チンキ」。

 テレビや新聞で派手に宣伝されている、例の医師が販売、じゃなくて、診断して処方してくれる内服薬を服用する必要が、どこにあるのだろうか?
 あそこまで執拗に宣伝するのは、どういうことだろう?
 本当に水虫患者?さんのことを親身に思ってやっている宣伝なのだろうか?
 村田漢方堂薬局では、医師の処方された水虫薬の副作用相談で、いい迷惑をしている。儲かっていいじゃないか、と卑俗なことをいうなかれ!

 そもそも、水虫くらいの疾患で、肝障害などのかなり深刻な副作用の危険をおかしてまで、どうして服用しなければならないのか?
 重症者に止むを得ず投与されるのとは訳が違う。ごく軽症の水虫患者にさえ投与するから、問題が大きいように思われるのだ!


 上記の中国から輸入された外用医薬品は、日本全国の漢方を専門とする多くの薬局で売られている。漢方専門でなくとも、薬局なら売られているところも多いときく。わずか、千円台の外用薬だけで、充分に軽快するものを、実に理解に苦しむ日本社会である。

6月2日(木曜日)疏経活血湯と防已黄耆湯との併用はしてもよいか?

 村田漢方堂薬局サイトの「漢方薬関連のご質問」フォームより、ご質問とお返事のやり取りの全文転載。30代の女性からのメール。


お問い合わせ内容 : インターネットでこちらを拝見いたしました。はじめてご相談させていただきます。現在体の冷えでソケイカッケツ湯を服用しています。下半身のむくみ、関節痛もあるのでボウイオウギ湯も服用したいのですが、この二つを同時に飲んでも大丈夫なのでしょうか?漢方薬でも飲み合わせが悪いと体に害があると聞いたことがあります。お時間のございます時にでも、ご返答をいただけると幸いです。よろしくお願いいたします。

お返事:拝復 結論から言いますと、可能性として、疏経活血湯と防已黄耆湯を併用することも、有り得ます。あくまで、有り得る、ということ
で、貴女様が、この配合が適切かどうかまでは、当方では、まったく判断できません。
 必ずお近くの漢方専門の先生と、ご相談され、適切な漢方薬の配合をアドバイスしてもらうべきです。
 素人療法は怪我のもと、ともいいますが、上記の漢方薬類はきめられた分量を厳守する限りは、少しピントがずれていてもひどい副作用が出ることは、ほとんどありえまん。
 とはいえ、必ず専門家とご相談の上、適切な漢方薬をアドバイスしてもらってください。 頓首

追伸 下半身にむくみがあるそうですが、疏経活血湯と防已黄耆湯を合わせた場合、「甘草」という成分の量が増えますので、それぞれの漢方薬方剤に、むくみを取る効能はあっても甘草が増える為に、逆効果になる場合も、有り得ますのでやはり、直接専門家にみてもらって、ご相談すべきです。

折り返しのお礼のメール
早々にお返事ありがとうございました。
実は医師から大丈夫と言われたのですが、昔薬局に勤めていた関係でほんの少しですが知識を持ち合わせていたので、『甘草』が疏経活血湯と防已黄耆湯の両方に含まれている事が不安に思えたのです。
お医者様から大丈夫と言われた事もありますし、また聞くのもなかなか勇気がありませんで・・・。
ネットで色々と調べているうちに村田様の漢方専門の薬局のサイトがあることを知りご相談させていただいたものです。

私も素人なので、先生にいろいろと聞いてよいものかどうか悩んでいましたが、もう一度相談してみようかと思います。
確かに『甘草』を多量に服用すると逆にむくみなどでるようですので、自分の体にあった処方を先生と一緒にさがしてみたいと思います。

自分で服用するものですから、正しい知識を詳しくしりたいと思いご相談させていただきましたが、私の症状が村田様には分からない事も考えずに、ご相談してしまい申し訳ございませんでした。
正しい漢方薬と上手に接するために、正しい知識を持った医師と一緒に私も勉強していきたいと思います。
お忙しいところ、ご丁寧なお返事を本当にありがとうございました。


6月3日(金曜日)昨日は久しぶりの雨で、皆がむくみ顔!
 皆がみな、一様にくたびれた顔をしている。久しぶりの雨で、ほっと一息のはずが、四十前の若き友人は、てっきりまたパチンコで、おお負けして腐っているものとばかり思っていた。

 人のことは言えませんよ、ヒゲ先生もひどくくたびれた顔ですよ、と言い返される始末。
 そういえば、我が愚妻も、いつになく浮腫んで、腐ったジャガイモのような顔だった。

6月4日(土曜日)日本代表サッカーチーム、バーレーンに完勝!お陰で今朝早朝まで眠れなかった
 昨今、テレビと言えば、日の丸を背負ったスポーツ以外はまったく見ない。内輪同士の戦には、あまり興味が湧かないが、世界が相手となれば、俄然ハッスルして観戦する。

 スポーツにおいては、世界が相手となると、いかにも真剣勝負という、あの雰囲気が好きなのだ!
 このたびのように、完勝であれば最高に気分がよいが、辛勝のときでもハラハラドキドキ、これもまたいい!

 負けたときはどうなんだって!? 聞くだけ野暮、一日中皆に八つ当たりして、回りは被害甚大っ、てことよ!


6月5日(日曜日)真の漢方薬の実力は?
 漢方薬の真の実力は、世間の皆さんが想像する以上のかなりの能力を発揮できる医薬である。
 ところが、それを実現するには、やはり想像以上に高度な知識と技術を必要とするのである。
 いくら漢方薬に能力があっても、それを上手に使いこなす知識と能力がなければ、それこそ「宝の持ち腐れ」なのである。

 ヒゲ薬剤師も大きなことは言えないが、漢方薬の本来の実力を少しでも発揮させるためにも、安易な相談には乗らないのである。
 中途半端な気持でやって来られたら、老化しかけた頭の集中力が発揮出来ないからである。
 昨日の日録ではないが、それこそ真剣勝負の毎日なのだからね。

 世間ではよく「お気軽にご相談下さい」とありますけどね、お気軽ではなくて気が重い、真剣・真面目・深刻なご相談ばかりが多いんですよ、村田漢方堂薬局ではね。

 でもね、ついつい長いおつきあいになりますとね、ヒゲ薬剤師のズッコケトウヘンボクにあきれ返って、大笑いするのは時間の問題ですけどね。


6月6日(月曜日)月曜日に忙しいのは当然だが!?
 この忙しさにまぎれて、半年前に漢方薬を減らしたために難病をひどく再発させて、あれほど後悔していた人が、このどさくさにまぎれて、また漢方薬の配合の一部を中止してしまった。

 ヒゲ薬剤師に見つかると、しかられるとでも思ったのか、喉もと過ぎれば熱さを忘れるのであろう。
 半年前から3ヶ月もかけて、モトの緩解状態にようやく戻れた、というところで、もうこのありさまである。いやはや、命に関わることでも、人間この調子だから・・・。


6月7日(火曜日)朝っぱらから常連さんの老夫婦と天下国家を論じていて,危うく倒れかかったこと

 2〜3ヶ月に一度やって来られる常連さン。9時早々からやって来られ、いつもの調子で、天下国家や人生論の長広舌が始まった!

 そばで聞いていたら、どちらが戦前生まれか見分けが付かないことだろう。

 人としてのあるべき道を説いてみたり、日本の行く末を憂えてみたり、まあ、お年寄りを前に、まるで明治の人間が帰ってきたかの迷演説である。
 それを楽しみに来られる老夫婦に向かって、明治男の大演説会は、いつ閉会するとも知れない。

 そのうち、突然、ひどく気分が悪くなって高貴薬の牛黄を服用して、何とか事なきを得た!

 とは言え、こんなことは、ここ三十年以上、毎度のことで、漢方薬の悪用の典型である。
 なにせ、睡眠時間が3〜4時間、たまに多くて5時間弱!

 これで、身体がよくもつものだと不思議である。

 こんな不養生家の馬鹿ヒゲ薬剤師を頼っておられる患者さんたちこそ、気の毒というものである。
 「馬鹿は死ななきゃ治らない」とは、この時代錯誤の明治男にこそ、自覚させるべき言葉であろう

 と思ったが、やっぱり本人は、重々自覚しているからこそ、性懲りないのであった。


6月8日(水曜日)サッカー・ワールドカップ出場決定!

 あ〜あっあ〜〜〜、選手よりも、絶対にヒゲ薬剤師の方が疲れた! 何せ連続睡眠不足の記録更新中だもの。

6月9日(木曜日)軽度の高血圧に合成医薬品が5種類!

 先ほどのお電話の相談で、上記の通りの話で、これらを服用しはじめて、元気が無くなり、だるくてしようがないと、70代の男性である。
 普通の内科医にかかっているということだが、少なくとも循環器の専門医ではないとのこと。いわゆる一般の開業医さんだというので、そのかかりつけの医師に相談するか、それができないのなら、即刻、循環器の専門医にかかって、適切な薬に変えてもらうようにアドバイス。

 例によって、漢方薬は出してもらえないのか、と問うので、軽度の高血圧くらいで漢方薬を服用するのは、モッタイナイ。合成医薬品なら、ほんの1〜2種類で、朝一度服用するくらいでも、コントロールできることが多いのだから、即刻、適切な医師にかかるようにとの、いつもながらのアドバイスを繰り返すのみ!


6月10日(金曜日)のどかな1日。まるで昔の日本に戻ったような人情豊かな人々

 久しぶりにたっぷりの睡眠が取れた。少なくとも4時間半はたっぷり眠れたような気がする。

 夕刻、九州からの常連さんのご夫婦に、今日はとても顔色がいいですね、とほめられた。どちらが患者かわからない。
 ちょうどそこへ、ここ一年くらいのおなじみさんの奥さんが、薬局の回りの植物が淋しくなっているからと、順番を待つのにも都合がよいとて、せっせと30分くらいかけて、植えてくれる。

 例のヒゲ薬剤師はというと、ちょっと毒ガスが吸いたくなったといって、薬局内からいつの間にかいなくなっている。
 皆さん遠方から来られているというのに、一人いい気なものに見えるが、そうでもない。
 
 そう、そのときの皆さんも「哲学の煙り」がいかに貴重で、必要不可欠なものか、先刻ご承知の人々ばかり。
 薬剤師の癖に、ケシカラン!などと、この薬局で口走る新参者が来ようものなら、そこに居合わせた常連さんが、事情も知らない新参者を、薬局から叩き出すに違いない!


6月11日(土曜日)どんどん減ってゆく漢方製剤

 ひところは各社競って漢方薬のエキス錠やエキス顆粒剤が製造され、我々のような末端の漢方薬局では、どの会社の製品が優れているか、方剤ごとに吟味して選択するという、よき時代があったのだが、昨今は淘汰の時代に入っている。

 採算が合わない方剤は、各社競って製造中止に追い込まれている。公共の利益になる為には赤字が出ても頑張る、といった気概はあっても、何せ、そのために会社が潰れては何もならない。
 事情がよく分かるだけに、同情せざるを得ない。

 一方では、漢方とは無関係な健康食品類が、市場を派手に賑わしているというのに!

 いやはや、この国の漢方の行く末は、どうなることやら。


6月12日(日曜日)危険な駐車場の立ち話

 ここ二ヶ月以上、日曜日には毎週、某病院に入院中の母を見舞いに行くのが習慣になっているが、駐車場の入り口付近で立ち話をする光景を目にすることが多い。
 見舞って帰るときにも、まだ続いている。

 自分が運転するのではないが(免許は薬剤師免許と高校・中学教師の免許しかない)、実に危険極まりない。
 運転手は立ち話の二人を避けるために、何度も切り返さねばならず、それでも、その二人はたいして気にする風でもない。

 これが現在の日本の姿なのである。

 帰宅途中、同年の警察官の友人に出くわした。角地でやや緊張したおもむきの勤務姿が、彼には似合わないので、声をかけ#’Io4hfw3=?*`#!*|¥−3%&と話し込んでいると、後続車がやってきて、慌てて退散。

 「人のふり見てわが身をなおせ」とは、実に名言である。

 と、えらっそうなこと言うよりも、自分のことは棚にあげるなっ!てとこかな〜〜(シュン)。


6月13日(月曜日)何ヶ月ぶりかで書きかけた中途半端で異様な書評に、皆から叱られたこと

 数ヶ月ぶりの書評をメインサイトで書いたものの、喜多村拓氏の「書痴迷宮」の内容が、あまりにもヒゲ薬剤師のことを書かれているのではないかと怪訝なくらい、あらゆる個所で分身が出てくる。
 全部を読み終わらないうちに、「あ〜〜気分が悪い」という書評ともつかないものを掲載してアップしておいた。

 もしも、ヒゲ薬剤師を知る人が読めば、「これはきっと村田漢方堂薬局のイカレタ薬剤師に違いないっ!?」と笑い転げるのは目に見えている。
多くの人は笑い転げるのみならず、本キチの生態を知って、驚愕するに違いない。

 そんなこんなで、こんなに面白すぎる本はあまり人に知らせないほうがよい、とまでは決して思わなかったのであるが、身近な人々からは、さんざんに叱られてしまった。

 とりわけ、愚妻のごときは、あの文体はなんなの?!しばらく書かないうちに、ひどい堕落ぶりネ、と惨々である。

 ともあれ、著者は古書店 林語堂さんの経営者。2冊目の御高著。1冊目はヒゲ薬剤師の迷書評がある。⇒●


6月14日(火曜日)開局前の交通事故のあと、午後3時から愚妻薬剤師のいない一時間に大奮闘!

 朝8時半、開局前に店に向かって軽自動車が突進して来て大混乱!発泡スチロールの植木鉢類が、かろうじてウインドウへの被害を食い止めた!乗っていた幼児は全く無傷でよかったが、運転していた若い母親があきらかなむち打ち症状。夕方には吐き気がすると言って来られていたが、むしろ明後日頃からが大変かもしれない。

 午後、所用あって愚妻はほんの1時間半、下関駅の先に行っているあいだに、一人大奮闘。常連のお二人のご相談途中に、常連さんからの電話注文と他の家族の病気のご相談。続いて常連さんのお電話と、一人大奮闘。店頭に来られているお二人は、奥さんが帰るまでゆっくり待つから、先生は決して金庫を触らないように!と、まるで信用が無い。
 これ、まったく冗談で言っているのではない。常連さんは良くご存知で、漢方薬の配合のこと以外は、まるで信用が無く、薬の置いている場所でさえ、来られた人に教えてもらうほど、薬局内の漢方薬製剤の置き場所には、まったく無関心なヒゲ薬剤師に、みなさん呆れるというよりも、既にあきらめている。

 そのくせ、専門の漢方薬に関しては、五月蝿いこと限りなし、と皆が思っている。実際、漢方については、本当にウルサイ。専門家だもの、当然である。

 その後、ある患者さんは明日、検査が判明するので、主治医と相談して村田漢方堂薬局の漢方薬の利用する領域の許可を求めて再来するといって帰られた方もいた。
 漢方を利用されるにしても、必ず西洋医学検査および治療をないがしろにしないよう、常日頃から、皆さんにさとしているからである。


6月15日(水曜日)漢方薬を求めてやって来られても、諦めが早い人もいる

 適切な漢方薬の配合を見極めるには、漢方医学特有のものがあり、そのピント合わせが一発で合う人もいれば、難航する人もいる。中途半端なピントでも、一時的には意外によく奏効することもある。
 ところが、効果が出たからといって油断は禁物、途中から進歩しない場合も多い。
 この場合は、あきらかにいささかのピントのズレがあるのだから、微調整する必要がある。

 これらのいわゆる「小細工」を行わなければ、漢方治療の本来の効能を発揮できるものではない。

 それには、患者さんにも相当な根気が要る場合があるのだが、付いてこれる人と、すぐにあきらめる人とがいる。
 やはり、我慢強く頑張った人には、多くの場合、良い結果が出ていることはいうまでもない。


6月16日(木曜日)とても重宝な【女性総合診療】外来

 数年前、某公的病院から「地域医療機関との密接な連携の一環として云々とて、当該病院の御案内パンフレットとともに、上記の【女性総合診療】外来のパンフレットをそれぞれ5部ずつ送られて来ていた。
 とりわけ、後者の女性総合診療の御案内パンフレットは、村田漢方堂薬局においても大変重宝で、若い女性達が、様々な悩みをかかえて病院に行くにいけないし、また行くとしてもどこの病院へ行けばよいかわからず、親子で村田漢方堂薬局に迷い込まれ(?)るケースが、ままある。

 このような時には、まず自費の漢方薬よりも、まず若い女性達が安心してかかれる女性専門の外来なのである。
 これまで、どのくらいの人をご紹介したことか。いずれの方にも大変好評なようで、もちろん女性医師が対応して下さっており、必要に応じて適切な診療科にご紹介して連携されているようである。

 つまり、村田漢方堂薬局にとっては、少々の病気や悩みでは、まず自費の漢方薬よりも、適切な病院に行って、じっくりと諸検査および適切な治療を受けて頂きたいのである。
 自費の漢方薬は最後の手段として、とっておいてもらいたい、というと何だか奇妙な表現になってしまうが、本心でそう思っているので、このように表現するしかないのである。


6月17日(金曜日)中医学(中国漢方)と西洋医学の合併論

 一般の方には難し過ぎる内容かも?
故山本夏彦氏ではないが、「寄せては返す波の音」の論で、漢方薬専門・漢方相談/村田漢方堂薬局サイトで論じた重要拙論の一部をピックアップ!


 構造主義科学の論者、池田清彦氏(山梨大学教育学部教授)の諸論『構造主義生物学とは何か』『構造主義と進化論』『構造主義科学論の冒険』などを拝読して、村田流に理解したところでは、おおよそ次のようである。

 科学とは現象間の関係記述である。つまり、科学とは変転する現象間の関係を、なんらかの不変の同一性(構造・形式・公理など)によって記述しようという営為である。
 したがって、あらゆる科学理論というのは構造(構造・形式・公理など)という不変の同一性によって、現象という変なるものを変換し体系化したのもである。
 それゆえ、最終的に正しい究極の理論というものはあり得ず、より多くの現象を説明できる理論が、より有効な理論と言えるだけであり、背反する二つの理論が同じくらい有効なときでも、必ずどちらかの理論が間違っている、などということは決して出来ない。


 この二つの背反する理論の具体的な例としては、取りも直さず西洋医学と東洋医学の対比が典型的であり、西洋医学理論と中医学理論を比較すればおのずと明白である。両者における病態観の相違を検討すれば、容易に察することが出来る筈である。
 ともあれ、陰陽五行学説にもとづく中医学理論そのものがすでに現象間の関係記述という構造主義的な理論構成をなしているだけに、医学理論における極めてユニークな科学理論として、再認識してしかるべきであろう。
 けだし、構造主義科学論の視点から見ると、中医学には「整体観」という構造主義的な視点が既に確立しているのに比べ、西洋医学においては(ミクロ的にはともかく)、マクロ的には構造主義的な視点が比較的乏しく、このために西洋医学は実際のところ、むしろ「非科学的」であると言われても反駁出来ないのではないだろうか。


 中医学においては、陰陽五行学説という人体観・整体観が基本原理となっており、これにもとづく中医学理論は、よりハイレベルな構造法則として常に進歩・発展していく必要がある。
 また、中医学における弁証論治では、西洋医学に当たる診断部分が「弁証」であり、四診によって認識される「一連の症候」にもとづいて把握される病機(疾病の本質)≒証候名が、その患者の疾病構造を示す病名となる。

 一方、西洋医学においては全体系の原理となる陰陽五行学説のような構造論的観念が欠如しているために、ある特定の患者の診断において、自他覚症状を含めた各種諸検査にもとづいて導き出された診断名(病名)は、その疾病構造を示すものとはなり得ていない。つまり、西洋医学理論は統一的な構造法則としての文法が不完全であるために、西洋医学における病名は、構造分析によって導き出される「疾病の本質」を表現するものとしては、常に不完全なものでしかない訳である。
 それゆえ、中医学に西洋医学を吸収合併させ、西洋医学の特色である諸検査を有効に活用する方向こそが、臨床医学という現実に即した今後の新しい医学の方向であると思えてならないのである。

 これら前後の拙論の詳細は【中医学と西洋医学】へどうぞ! 

6月18日(土曜日)検査数値の一部が上がるのは、漢方薬のせいか消炎鎮痛剤のせいか?

 上記の問題で、服用中の漢方薬を中止するように言われた患者さん。漢方を服用し始めて体調が良いのに、その数値が上がりはじめたときと、漢方薬を服用しはじめたときが一致している。
 ところで、疼痛のために病院から出されていた消炎鎮痛剤の服用時期とも一致している!

 どうしようか、と患者さんからお電話がかかってきたので、もちろん医師の指示に従うようにお願いした。
 患者さんの方では、病院から出されている消炎鎮痛剤も止めたいといわれるが、必ず医師の指示通りにされることをお願いする。
 両方とも止めれば、どちらが犯人か分からなくなる。

 病院によっては、極度に漢方を恐れ、忌み嫌われる所もあれば、漢方薬ならほとんどフリーバスに近い対応をとられる病院もある。

 ともあれ、あの活性酸素発生源としても注目されている消炎鎮痛剤よりも、漢方薬ばかりが疑われるのである。両者を疑うのなら、分からぬでもないのだが・・・・。


6月19日(日曜日)ボケが始まったら専門医は神経内科

 漢方薬のことはともかく、まず、ボケ始めたら専門医は神経内科である、らしい。
 本ばかり読んで、それ以外のことには全く関心を向けなくなっていた祖母のことを、帰郷するたびに心配していた愚娘が、神経内科医である。

 ヒゲ親父ソックリの愚娘の顔は、気味悪いものだが、それはさておき、老母が三度転んだときに、直ぐに診てもらったのは、ご近所の脳神経外科医であったが、あらゆる面で二人の意見は一致していた。
 脳神経外科と神経内科は「車の両輪」のような関係にもあるらしい。

 愚娘の強いすすめもあって、ようやく介護保険の何とかやらをどうとかしたらしいが、すべて愚妻の薬剤師が手配と手続きをしたので、ヒゲ薬剤師にはその詳細は分からない。

 日頃は、村田漢方堂薬局の漢方薬の世話にばかりなっている愚娘だが、俄然、専門分野になれば、一人前の口をきくもんだ。
 確かに、すべての指示が的確で、お世話になったお近くの脳神経外科出身の開業医さんのアドバイスや今後の方針など、すべてに一致していたのには、さすがに専門分野が共通すると、こうも一致するものか、と驚いたものである。


6月20日(月曜日)梅雨に入ってからひどい乾燥状態!下関は。福岡もだって!

 上記の通り、ひどい乾燥状態なのである。入梅を宣言されて一日雨があったのみ!
 その後は、ひどいんである、乾燥状態が!
 お陰で、皆さん変な風邪を引いて、まあ、あまりこじれる人はいないが、畑の野菜が育たないとか、この調子で行くと、降るときには洪水になるくらい降るのじゃないか?とか、
 皆さん、何とも不気味な異常気象に、不安顔なのである。


6月21日(火曜日)デジカメすら使えなかったヒゲ薬剤師が、突然目覚めて試写!

 デジカメが使えないでもネ、ホームページはやれたんですよ。面倒な撮影やパソコンへの取り込みなど、やりたくないことはすべて超?美人のU女史にやってもらっていたからネ。

 でも、今年になってからは、ほとんど独り立ち!だから技術的にはまったくの素人!
 そろそろ、不便になってきたから急遽「ドクガク」で、デジカメをやってみたということ!
 ただし、ホームページ上に反映させるには、やっぱり、ちょっとだけU女史に電話で質問しなければならなかった。(ちょっと口惜しかったけどね!)


6月22日(水曜日)肥満の治療法

 上記の課題を本日のテーマとしたが、大声では言えないが、ヒゲ薬剤師は肥満のご相談の方々に対して、意外に冷たいのである!

 「食べなければイイジャン!」
 いつも、開口一番、この発言が必ず飛び出すのだから、今に袋叩きにあうかも知れない。
 皆に顰蹙(ひんしゅく)を買っても、反省の様子がみられないのだから、救いようがない。

 そんな乱暴な薬局であるが、「脂肪過多症」という効能・効果がしっかりと記載された医薬品としての漢方製剤がよく売れている。なぜか?
 機嫌を悪くした来局者に、女性薬剤師がその大変まずい味の粉末漢方薬を、「飲めるものなら飲んでみな!」という乱暴な言葉は決して口にはしない、亭主とは打って変わって実にお上品な彼女が、さりげなくその漢方薬を見せるからである。

 実際の所はですね、ヒゲ薬剤師の暴言こそに、結構な効果あるようなんですよ!
 皆さんね、「コンチキショウ!」と内心、きっと反発しているんでしょうよ、きっと。

 このロクデモない味の漢方薬を、真面目に服用して、ほどほどにスマートになっている人も、中にはいるようですよ。

 この漢方薬よりも、ヒゲ薬剤師の毒舌のほうが、はるかに効いているようにも、思われますがね。

 実際ね、食べなきゃいいんですよっ!

 食いたい放題の生活と、運動不足が原因なことくらいは、説明するまでもなく、皆さん先刻ご承知なのに・・・・・

 性懲りもなく村田漢方堂薬局のようなミモフタモナイことしか言わない薬局にも、来訪者があとを絶たないというのは、いや、実に不思議といえば不思議ですネ〜〜ッ。


6月23日特殊性と共通性の結合(中西医結合)

 上記のテーマ、一見むずかしそうだが、要するに、中国医学と西洋医学の結合という意味。
 それほど厳密に言わなければ、漢方医学と西洋医学の合体、という意味でも同様。この方がわかりやすいかも。

 といっても、漢方薬と一緒に、合成医薬品を併用するという意味ではない。
 西洋医学的な発想を漢方医学にも応用する、というくらいにとって欲しい。

 特殊性とは、特定の患者さんにおける、「その人固有の体質および疾患の個性」というほどの意味。
 共通性とは、その人の「西洋医学的な病名に共通する特性」というほどの意味。

 もともと特殊性を把握して方剤を考えるのが漢方のやり方だが、それに加えて西洋医学的な共通性を考慮した漢方薬や中草薬類の配合を加えるというやり方。

 これが村田漢方堂薬局のやり方なのであるが、何でもヒゲ薬剤師がやることはすべて「中医漢方薬学」論に含めてしまうから、乱暴なヤツである。

 この西洋医学的な発想から開発したミネラル学の応用、カルシウムとマグネシウムを中心としたものに、プラス微量ミネラルと葉緑素系の天然原料から製造された医薬品の配合によって、アレルギー性疾患などの共通性をカバー。
 これに、弁証論治にもとづいて把握される特殊性に対応した漢方方剤を加える、というもの。

 こんな開発や発明ばかりして来て、この日録でいまさら自慢するほどでもないが(といって大いに自慢している!)、漢方医薬新聞や、かの有名な月刊誌「安心」にまで紹介されたりして、結構ミーハーなところもあるヒゲ薬剤師なのであった。


6月24日(金曜日)再び中西医結合について

 昨日の日録の続きである。

 個人個人の特殊性を重視する中医学(中国の伝統医学=中国漢方)や日本の漢方医学と、特定の疾患における共通性を重視する西洋医学。

 これら3者のそれぞれの良いところを合体したものこそ「中西医結合」であり、ヒゲ薬剤師が過去、長期にわたって漢方界で主張し続けてきた「中医漢方薬学」論の集大成でもある。

 膨大な過去の積み重ねで構築された中国の伝統医学・薬学の分野において、先人の業績を「批判的に継承」すべきであることは、中国の多くの中医師が口にされることである。

 現代社会においては、これらに西洋医学・薬学という各疾患の共通性についての研究と業績を合体させた漢方医学・薬学であらねばならない。

 さもなければ、複雑多変な各種の難治性疾患に対処することは出来ないのが現実である。

 そう、現代社会における人間様の病気というものは、実に複雑多変であるから、医学・薬学の領域においても、高度に複雑化されて当然ではなかろうか、とヒゲ薬剤師は考えている。

 上記に直結した理論的根拠となる専門的な拙論は「漢方医学発展への道」と「中医学と西洋医学」である。

また、上記二日間にわたって気楽に書いたものをまとめて、ヒゲ薬剤師の「中医漢方薬学」論の集大成を要約した一般向け解説文として「村田漢方中西医結合論」がある。


6月25日(土曜日)土曜日は半ドンなので薬局は混雑、高額な費用を長年続けられている常連さんほど遠慮される

 新来の方が多い土曜日であるが、それに加わる常連さんは、新来の人々に遠慮されて、ひっそりと何種類もの必要な漢方薬類を買い求めて、またひっそりとお帰りになる。

 気の毒でしようがない。
 新来の方はいかに時間をとるか、常連さんこそ熟知されているからであろう。

 常連さんも初期の頃は、しっかりした漢方薬のピントを合わせるために、お互いに多かれ少なかれ苦労しているからである。

 しっかり漢方薬の効能を発揮して、安定期にはいってからは、薬局が混雑している時に遭遇すると、新人の方に遠慮して下さるのである。

 申し訳ないことである。本日がまったくそんな日だったのだ!


6月26日(日曜日)雨が降ると体内の湿邪に影響して体調が悪くなる人が多い

 下関は久方ぶりの雨!
 まことに慈雨である。
 
 ところが、これで体調を崩す人も必ず出てくる。体内に「湿邪」を蓄えている慢性疾患の人たちに影響するからである。
 この湿邪のことを、日本漢方では「水毒」という。水毒だけでかたずけようとするから、日本漢方には、ややきめ細かさに欠ける。

 中医学では五臓六腑や経絡のそれぞれに関連した湿邪がある。したがって、湿邪にも様々なバリエーションがあるが、詳細は専門的過ぎるので止めておく。

 ともかくこの湿邪に関連する病は、頭痛やめまいもあれば、神経痛やリウマチ、胃腸疾患などなど、様々なのである。

 ところで、ヒゲ薬剤師も、今日は一日ダルイのだ!
 これも久しぶりの雨が、体内の湿邪に影響したためなのである。

 現代科学では、気圧の変動が原因だといいますがネッ。


6月27日(月曜日)時代劇で結核患者に朝鮮人参を服用させるのは、かえって逆効果!

 このことは、ずいぶんと以前から漢方界では常識である。

 肺結核は、中医学的な分析では、肺陰虚や、この肺陰虚に肺熱を伴うことが多く、このようなケースではかえって逆効果で、死期を早めかねない。
 いや、この朝鮮人参がむしろ「毒殺」に近い災いをなすことが多いのである。

 上記を読むと、一般の「シロウト」の方は、ビックリ仰天されるに違いないが、これ本当なのである。

 だから、時代考証というのは、専門分野になればなるほど、大変難しいものだと思う。

 時代劇で病人が出ると、判を押したように「朝鮮人参」の出番となるが、噴飯ものといってよい場合のほうが多いのである。


6月28日(火曜日)昨日の続き。なぜ朝鮮人参は、使ってはいけない場合があるのか?(1)

 昨日の日録、朝鮮人参は、なぜ結核患者に使ってはまずい場合があるのか、の理由を記すのをウッカリ忘れていた。

 要するに温性の性質が肺熱に災いするのである。
 とりわけ肺熱が顕著な場合に、朝鮮人参だけを服用することは、自殺行為に等しい、というのはオーバーな表現だが、これくらい強い表現を取らなければ、間違いに気付かない人も多い。(専門家でも!)

 肺陰虚に肺熱を伴うような場合、どうしてもッ朝鮮人参を使用したいなら、他の漢方薬をうまく配合して、朝鮮人参の温性の性質が顕著にあらわれないように、巧みな配合が必要なのである。

 絶対に使ってはならない、という訳ではないが、使うなら使うで、朝鮮人参単独で使用するのではなく、必ず、その結核患者にとって、人参が有効に働くように、きめ細かな配合をしなければならないのですよ、ということ。

 その患者さんにとって、朝鮮人参を使用する利点はどの効能なのか、よく検討して使用しなければならないの。
 だから、相当に漢方医学・薬学に堪能な専門家でなければ、うかつに手を出さない方がよいかも?

 なお、朝鮮人参を単独では使わない方がよいケースは、上述したことだけに限らないので、次回も以降も暫く続けたいと思う。


6月29日(水曜日)朝鮮人参は、どうして使ってはいけない場合があるのか??(2)

人参のことを書き始めて、俄然クリック数が増えだしましたよ!
 関係があるのだろうか?

 まあ、そんなことはどうでも、朝鮮人参の使用上の注意ばかり羅列して、さぞやイヤミなジジイと思われていることだろう。 
 デモネ、有用性ばかりが喧伝されるあまり、誰が服用しても「良いこと尽くめ」だと勘違いされては困るから書くンである。

 濫用(らんよう)されて不快症状が出現し、漢方薬の評判を落とされたくないからネッ!
 
 高血圧で、しかも暑がりのような人が、朝鮮人参だけを大量に服用すると「危険」である。
 朝鮮人参を加工した「紅参」は、高血圧に良いと報告されているが、ヒゲ薬剤師の経験では、ない!

 ひところ、朝鮮人参エキスにニンニクエキスなどが含有した製品を服用して、目を充血させてやってくる人が毎年続いたことがあった。
 もちろん、合成医薬品にやられた時のような、強い副作用が出ることは滅多に無いが、高血圧がひどくなったり、むくみっぽくなったり、というのはザラにある。

 朝鮮人参ばかりを大量に服用するからいけないのである。
 前回に記したように、漢方薬を用いるには、バランス感覚が必要で、適切な他の生薬(漢方薬の製剤原料で単品)何種類か配合して用いるべきなのである。

 なんでも、漢方薬に限らず、食品でも何でも!単品を大量に摂取するのが一番よくない!
 その物質の利点よりも「偏った癖」みたいなものがモロに出てくるからである。
 言い換えれば、身体に良いといわれるものでも、単品をあまりに大量に摂取すると「毒性が出現する」といったほうが、オーバーな表現のように見えても、かなり的確である。

 中国で実際にあった例で、連日の朝鮮人参の大量使用で、高熱を発した例があるのを、以前、中国語の文献で読んだ記憶がある。


6月30日(木曜日)朝鮮人参は、どうして使ってはいけない場合があるのか??(最終回)

 人参ばかり続けて、しつっこくなってもいけないので、今日で最終回。

 昨日は、朝鮮人参で浮腫(むく)むことがあると書いたが、体内に水分を保持させる作用があるからである。
 この水分保持作用は、大いなる利点でもある反面、体質によっては単独で長期使用すれば、浮腫んでしまうことがある。日本漢方で言う「水毒」があるような体質の人に多い。

 このような「水毒」体質であっても、朝鮮人参単独ではなく、ビャクジュツ・ブクリョウなどを配合すればよい。
 朝鮮人参の内臓機能低下を賦活する作用という利点だけを発揮させて、単独で使用するときのような弊害は出にくい。

 典型的な例が、補気建中湯という癌の末期患者さんの腹水を軽減するのに有利なことが多い方剤である。
 内臓の機能低下の極限に近いことからくる腹水であるから、朝鮮人参の内臓賦活作用が必要になるからである。
 この場合、他薬の配合が優れているから、朝鮮人参の水分保持作用は、大事な細胞内の水分保持のために働くようで、溜まっては困る腹水などは、速やかに軽快するのである。

 といっても、その人その人によって体質が違うのだから、正確な弁証論治によって方剤を決めなければならない。上記は、その人の病状と体質によって補気建中湯がフィットした場合の話である。

 少しむずかしい話になりかけたが、これまで述べたように、滅多なことで朝鮮人参単独で使用するべきではないのですよ、という忠告である。

 もちろん、朝鮮人参の効用は本当に沢山あってとても素晴らしいものではあるけど、他の漢方薬類と配合して使用したほうが、安全・安心ということ!


7月1日(金曜日)下関は一時集中豪雨で雷!雨漏り・電話が故障!土曜日は半ドンで幸い

夕方から突然、アッと言う間もないくらいだった。吹き返しの激しい雨だったから築後33年の店舗は2階部分の切れ目付近から店舗に一部雨漏り!
 ちょうど、某製薬メーカーの社長さんが帰られた後に生じた雨漏りだったから、みっともない所を見られずに済んだ!
 2階部分にも読めもしない大量の書籍の重量で、日本家屋の老朽化を早めているのは間違いナイ。

 直ぐ近くに落雷があって肝(きも)が冷えたが、その後店舗と書庫・自宅と三軒で6箇所につながっていた電話が、店舗の奥の台所1本しか使用できなくなっていた。

 土曜日の薬局は悲惨なことになりそうだ。遠来の病人さんが多い日だというのに!


7月2日(土曜日)時代によって、良い意味で「流行の漢方薬方剤」というものが必ずあるものだ!
 (やっぱし、昨日来の電話の故障はカミナリサマが原因で、修理に来てくれた同年代の男性が手際よく直してくれた。他にも多数同様な事例があった模様。)

 個性を重視する漢方や中医学とはいっても、とりわけ急性疾患の経過中に使用される方剤には、その時代の傾向というものが、あきらかにあるようだ。

 たとえば、風邪の治りかけの時に、よく生じる乾燥咳には、以前は麦門冬湯が適応する人が随分多かったが、最近ではそのようなケースがめっきり減り、小陥胸湯に辛夷清肺湯を合わせなければならない、胸痛を伴う咳嗽が多い。

 ところが、今年はどうしたことか、またまた乾燥咳の麦門冬湯が適応するような人が多かったのに、それでは効を奏さず、断然、滋陰降下湯という方剤の適応者が続出した。
 ヒゲ薬剤師も恩恵をこうむったほどである。

 また、二十年前までよく奏効していた柴陥湯(小柴胡湯と小陥胸湯をあわせたもの)が、ここ十年以上は、小柴胡湯の温燥の性質が邪魔で、もっぱら「小陥胸湯の加減方から作られた漢方製剤」に辛夷清肺湯などを併用するパターン、が多く、ヒゲ薬剤師の薬局では、小柴胡湯の出番が皆無に近い状況である。

 以上は、あくまで辺境の地、本州最西端、下関のヒゲ薬剤師の薬局での話である。

 適応する漢方薬方剤も、その時代時代によって明らかな傾向というものがあることに間違いない!と思うワケ。


7月3日(日曜日)肥満によいとネット通販で盛んに売られていた「天天素」被害の前兆を、この日録では4月中旬にはつかんでいた!こともあろうに「漢方」と称して売られていたのだ!

 今頃になって明かすのも、ネット界も大分落ち着いた頃と思うからである。
 
 被害者が続出したらしい「天天素」は、こともあろうに、このネット界では多くのネットショップ、しかも健康食品店だけでなく、薬剤師が管理するはずの薬局でさえも、どうどうと「漢方」と称して売られていたのである!

 この問題に対する一般消費者による副作用被害の相談が、村田漢方堂薬局の「漢方と漢方薬の御質問」フォームに舞い込んできたことがきっかけで、本サイト「漢方と漢方薬の真実」立ち上げのきっかけともなったのである!

 その証拠をとくと御覧に入れよう!

「天天素」被害発覚の予告編を既にこの日録で記していたが、その当時では「特定の製品の非難」となるために、公表できずに×××で表現していたのだ!!!


7月4日(月曜日)あんまり忙しいと自分の身体が危ない!

月曜日といえども、かならず薬局は誰もいない時間帯があるものだが、その時こそ、よけいに忙しいのが月曜日である。

 相談カードを整理したり、午前中にゴッソリ出してしまった漢方薬類の補充をしたり。

 そして、夕方6時の閉局後は、ひどい脱力感でグッタリ!20年前だったら、夕飯も食べずにチヌ釣りに、海へ直行の毎日が続いたものだが、現在の体力の衰えの激しさとは、隔世の感がある。

 ショボ〜〜ンッ


 よけいなことは、書かない方がいいだろうけどね、薬局を開設した直後から、ストレス解消のつもりでやっていたサンドバックとの格闘が、いつの間にかエスカレートして、元ミドル級のプロボクサーに、何度もリングに上がることをすすめられた8年間があったということ! (誰も信じないだろうけどネッ)やっぱり、その頃と比べれば、この体力の衰え! 自分でも信じられない・・・・

7月5日(火曜日) [質問者との珍問答] 三金湯とは何ぞや?三禁湯なら、かの有名な小柴胡湯であるが、漢字が違うぞ!

  お問い合わせ内容 : 5歳の子どもに発熱があり、以前滲出性中耳炎を治していただいた医院に行ったところ、三金湯という漢方薬を処方されました。お母さんも一緒に飲んでと言われたのですが、詳しい説明があまりなかったのでネットで調べてみたのですがよくわかりません。耳が痛いと子どもが言うので次の日にかかった耳鼻科の先生も聞いたことないと言うので不安です。飲んでもよいのでしょうか。 

お返事: 拝復 それは「三金湯」ではなく、きっと「三禁湯」の間違いでしょう。「小柴胡湯」の別名 が「三禁湯」です。多分、「小柴胡湯」が、一時、間質性肺炎の副作用があるのではないかと、悪い噂が立っていたので、通常名をはばかったのだと思われます。
 類推として、これ以上のことは、お答えできません。上記のご質問くらいでは、この程度のお返事で、精一杯です。
 もう一度、漢方薬を出された先生に、よく質問されるべきです。
 蛇足ながら、小生の薬局では、不安がる人には、決してお薬をお出ししませんが、お医者様ではそうもゆかないので、患者さんばかりでなく、お医者様の苦労がしのばれます。頓首

折り返し質問者からのメール: 迅速なお返事ありがとうございました。小柴胡湯の別名とのお答えですが、小柴胡湯は滲出性中耳炎のとき処方されており、それとは違うものでした。ともかく、先生のほうによく聞いてみます。
 重ねてありがとうございました。

7月6日(水曜日)漢方薬の勉強・処方を行う資格取得について、どのような方法があるのでしょうか?教えて下さい
 お問い合わせ内容: 上記の赤字の全文
 お返事:拝復 まず、漢方薬は医薬品ですから、診断および治療目的で処方できる資格をもてるのが、医師免許です。
 次に、医薬品としての漢方薬の「製造と販売」の資格を得ることが出来るのが、薬剤師免許です。
 当然、販売するにあたっては、充分なご相談によって、適切な販売を行わなくてはなりません。
 もう一つは、「薬種商」という資格は、一般の人でも、薬局などに勤務歴が5年以上だったか?があれば、受験資格が得られ、各都道府県「薬務課」が管轄するもののようです
 医師免許や薬剤師免許が、国の厚生労働省管轄であるのとは、大きく異なります。
 「薬種商」の資格に関しては、当方ではそれほど詳しくは分かりませんので、地元の「薬務課」でお尋ねになると宜しいかと存じます。
 ただし、「薬種商」では、漢方薬の販売は出来ても、製造業の許可を得ることは出来ません。
以上、お返事まで。頓首


 折り返し質問者からのメール: 早速お返事を頂き、ありがとうございました。
 実は、今、鍼灸師の専門学校に通っておりす。
将来のことを考えて、鍼灸治療をしながら、漢方の相談に応じ、処方することは出来ないものだろうかと考えておりました。
 日中は介護保険のケアマネージャーの仕事をしており、薬局・薬剤については全く経験ありません。
 長い道のりになったとしても、鍼灸医学と合わせて、漢方について学んでみたいと思っております。
 中医薬の『薬剤師専門学校』のようなものは存在するのでしょうか?
すみません。不慣れなパソコンで、私には検索することができませんでした。
また、何かアドバイスがありましたら頂きたく、宜しくお願いいたします。
季節柄、お身体ご自愛下さい。
ありがとうございました!!

7月7日(木曜日)三金湯」後日談:遠方のヒゲ薬剤師に問い合わせるヒマがあったら、質問者は先にGoogleで検索しておくべきだったこと!(プンプン!笑)Googleで調べた後なら、もっといい質問ができたことでしょうに

 一昨日の問合せ「三金湯」のことを突然思い出し、こころみにGoogleで検索してみたところ、何と!あるではないか!
 成分は、スイカズラの花(金銀花)・菊の花(菊花)・タンポポの根(蒲公英根)の三種類からなるものだと、簡単に調べがついた。
 なのに、どうして下関のヒゲ薬剤師に質問しなければならなかったのか!?
 そもそも「三金湯」という名は、手元にある中医方剤学関連の、相当に詳しい原書で調べても、出てこない。(あるいは、書庫にある全十数巻ある方剤学全書の類で調べれば、出てくるかもしれないが、いま、そんな悠長なヒマはない!)
 「三禁湯」なら、先日も述べたように、かのッ有名な「小柴胡湯」であることくらい、漢方を少しでも齧ったものなら、常識である。

 ところで、この「三金湯」なるもの、健康食品としながらも、効果効能をどうどうと併記しているところさえある。
 でもネ、こればかりは、さすがのヒゲ薬剤師も、漢方と詐称されてネット販売が盛んだった「天天素」の場合と違って、強く非難する気にはなれない。
 なぜか?
 三金湯といわれる内容が、すべて中国では立派な中草薬であり、しかもかなり安全なものばかりだからである。と同時に併記されている効果効能も、決して大きな間違いが書かれているわけではない。

 厚生労働省様、この辺の事情、何とかすっきり解決できないものでしょうかね。
 中国では立派な「中草薬」が、日本では健康食品扱いされるのは、まあ~仕方ないにしても、うっかり効果効能を表記しようものなら・・・・、学問的ならいいんでしょうが、やはり皆さん、半分は商売の道具みたいですがね。
 
 この辺の所、難問中の難問だと思います。

 三金湯、金銀花・菊花・蒲公英、これらは誰がどういおうとも、ヤッパシ、立派な「中草薬」なんですよ、ほんとに!

 ただし、ほどほどに正確な弁証論治にもとづいて使用しなければ、安全とはいっても、合わない人も、必ずあるんだから、念のため!


7月8日(金曜日)「無愛想な漢方薬局」という題で書かれた大学の先生で小説家様、それ、我が薬局でも同じよ!

 そのまま転載したい内容だが、無断転載云々で、おなじみの禁止事項だらけなので、内容の要約しか出来ない。Googleさんで「無愛想な漢方薬局」を検索すれば、直ぐに読めますよ!

 要するに、この先生、漢方薬局に入って、製品を興味深げにジロジロ見渡しながら楽しんでいると、店主にケンモホロロにやっつけられた、というお話。

 あったり前ですよ! 遊び半分、興味半分の連中が、一番迷惑だってことが、この先生にはあまりご理解されていない様子。

 本当の、という言い方は適切かどうかは不明だが、本当の漢方薬局なら、いつも真剣勝負の難病や深刻なご相談ばかりだから、ヒマな時間帯に、遊び半分、物見遊山でやってこられる連中が、内心では迷惑しているのですよってこと!
 無愛想にもなりましょうよ、実際。

 「客に何言ってんの?」「あんたそれで店やってるつもり?」

とか、小説家の大学の先生様こそ、そのような暴言を漢方薬局で吐かれること自体、根本的に、間違っております。そもそも、薬局にはいってからの行動が、間違っておられましたよ。
 冷静になって最後に述べられている憶測こそ、間違っておられるような気がしますがネ。


  ヒゲ薬剤師のやってる薬局には、滅多に先生のような物見遊山客は来られませんもの。
 たまたま常連さんがおられたら、皆からしろ〜〜い目で見られること間違いありません。

こんな無愛想な薬局でも、10年、20年、長きは30年以上の常連さんが、かなりな人数おられるってこと、考えられたことありますか?

漢方薬を求めて、遠路はるばるやって来られる皆さんが、どれほど真剣であるか、ご理解いただきたいものですよ。


7月9日(土曜日)第2第3の天天素が出てこなけりゃよいが! 本日もネット通販で盛んに売られている「漢方」や「漢方薬」と銘打った???的な問い合せが舞い込みましたよ。なんでヒゲ薬剤師にばかりたずねるのよ。薬務課や厚生労働省に問い合せて欲しいよ。もう不気味な世界に深入りしたくないんだからねっ

 も〜〜う〜〜〜イヤですね。あんな質問ばっかり!
 結局、ヒゲ薬剤師に問題の薬事法違反の健康食品を摘発しろ、とでも言うつもりなんですかね。
 今日も舞い込みましたよ、問い合わせのメールが。
 この問い合せメールは毎日数通はあるんだけど、もう一番イヤなのが、例の4月中旬にマイコンだ天天素の時の様な、漢方や漢方薬と銘打ってネット通販されている健康食品類の、問い合わせが一番イヤであり、不愉快でもある。
 
 不安なものなら、最初ッから使用しなければいいじゃないか! と言いたくなる。
 ヒゲ薬剤師を薬務課と勘違いしているんじゃネーカ、と言いたくなる。
 
 皆さん! そんなに直輸入品で、不安なものがあったら、消費者センターなり、薬務課なり、あるいは厚生労働省さんなりに、お問合せ下さい!

 直輸入品には、ヒゲ薬剤師は一切関係ありません。
 まったく聞いたことも見たこともない直輸入の健康食品や外用剤など、Ggggleで検索して調査したりと、大変なんだから、成分が書かれている場合は・・・・、

 あのネ、そんなに不安なら、最初っから手を出すな!てことよ。


7月10日(日曜日)ダイエットブームに対する疑問
(またこんなこと書くから、一部のサーチさんに嫌われて、登録拒否されるんでしょうネ、地元の山口県でも一部のサーチさんに登録拒否されたのには、ったく驚きましたがネ! 長州の内部分裂ですよ、これ!)

 猫もシャクシもダイエット、などと書くと、また袋叩きに合いそうだが、言いたくもなりますよ。
 たっぷりとお金をかけて、一歩間違うと死をも招くダイエット!
 生死を賭してまで、ダイエットをやる価値が、どこにあろうのだろう。ヒゲ薬剤師の素朴な疑問である。

どうせ裏には皮肉たっぷりの毒が含まれているのだろうと警戒するなかれ!

 ただ、ウイットとユーモアの精神のない方は、このサイトを訪問しないほうが懸命かもしれない、というだけのこと。

 身近な者で、ダイエット!ダイエット!と叫んで奔走している女性達を観察していると、実に?????
 あんた、どこが太ってるの!それ以上ヤセルと、骨川筋衛門(ほねかわすじえもん)じゃないの!
 そんなに骸骨になりたいの?!

 まったく信じられない話である。本当に肥満体の人よりも、ダイエットに奔走している女性は、どう見ても、これ以上やせると危ないぜ!
 という人ばかりなのであった!
 これ、平成の大発見かも!


7月11日(月曜日)昨日は9年ぶりの秋吉台近くの大正洞へ。清風苑で水晶を買って気分よかったが、歳のせいか月曜日は閉局後、過労で落ち込む

 落ち込む理由は、過労ばかりでもない。薬局前でまた交通事故があった。ここ1年、頻繁に交差点で交通事故があり、先月も店頭の植木鉢と塀を破壊されたばかりであった。

 ここ最近連続して起こるのは、どうやら日本人の心がチヂに乱れているから、としか思えない。

 ビンビン感じるのである。日本がオカシイ!

 どうかしているぞ、と思う。身近な現象から、全体が見える場合が多いのだ。

 漢方医学、中医学がそうだ。脈や舌の状態だけでも、体調の全般が把握できることが多いのである。
 部分現象は、全体につながることが多いということである。

 何だか日本が怪しいぞ!


 水晶を買った「清風苑」、きっと村田清風にちなんで名づけられたのだろう。エッ!村田清風を知らないって?! 
 知る人ぞ知る長州藩の・・・・・、止めてオコッ