漢方薬局薬剤師日録(3) 平成17年(7月12日〜8月10日)

漢方と漢方薬の真実>>漢方薬局薬剤師日録(3)


7月12日(火曜日)ヒマになる火曜日に生き返ることになる

 本日は順調にお暇な火曜日になってくれたから、随分疲れが取れて、午後には英気みなぎり渡るほどである!
 ところが、週によっては、皆さん忙しい月曜日の裏をかいて、火曜日に猛烈な忙しさとなる場合があるから、火曜日はいつもヒマとは限らない。

 でも、今日は生き返る。このまま本日はヒマなままであってほしい。
 今のところ、常連さんがやって来るばかりだから、気心も体質もよくわかっている方たちばかりだから、古びた頭を酷使しなくとも、優秀なコンピュータの如く、勝手に頭が回転してくれるから、疲労が出ない。


7月13日(水曜日)病気になりたければ実行すべき三大秘訣は、睡眠不足に過労・過食、ってこと

 薬剤師という職業上は、立派なことを言わないとメシが食っていけないから、仕方ない。

 でも、イヤミジジイだから、表現を反対方向からしないとおれないわけ。
  だから「病気になる秘訣」と表現するんである。

 医者や薬剤師が、皆が思っているほど(思ってないか!?)、聖人君子であるはずがない。

 またまた皮肉を言うようだけど、お医者様が皆さんの病気を全部治して下さったら、漢方専門の我が薬局の経営が成り立たなくなる、という事実。

 世の中を冷徹に眺めれば、えげつないのよ。

 やっぱし、ヒゲ薬剤師は、みもふたもないイヤミじじい〜〜のようですな。


7月14日(木曜日)一番悩ましいことは、難病に良く奏効していた漢方薬の配合が、突然効力を失ってしまう時!こんなことは稀なんだけど!

 どう検討し直しても、解決がつかず、やむを得ず病院で強い薬を出してもらって対症療法をせざるを得ないことが稀にある。
 症状が安定していたので、漢方薬の服用がおろそかになっていた面があったとはいえ、あやしくなってからは真面目に服用していたという。
 また、調子が良かったから病院での検査も怠っていた。

 それにしても、このような時、どう検討しても、自分の腕では一時、限界を感じてしまうのはナサケナイ!

 コンチキショウ、こんな弱音は吐きたくないけどね


7月15日(金曜日)なんと!「漢方薬」を「健康食品」の下位カテゴリに分類するサーチエンジンさん

 先日、たまたま登録申請に訪問した格上のサーチさんのカテゴリ分類には驚いた!
 書かなきゃいいのに「管理人へのメッセージ」欄に、健康食品の中に漢方薬を分類するのは、間違っている。漢方薬(医薬品)とすべきであると書いたのだ。
 これをやると、十中八九、登録を拒否される。 逆に良いことを教わりましたと、感謝されたことも何度かあったのみならず、教えを請われて、何度もメール交換をしたことすらある。

 しかしながら、多くはこれをやると、登録すら拒否されてナシのつぶてとなることが多い。

 今回のサーチさんの場合、とくに健康食品にチカラを入れているところだったようで、相当に反感を買ッった可能性も有り得る。

 まっ、覚悟の上ですがネ。
 これぐらい正論を吐き続けなければ、「漢方と漢方薬の真実」が伝わりそうもありませんからね。
 ヒゲ薬剤師のHPの先生、教養人の美人Webディレクターでさえ、漢方薬は健康食品と同列に思っていたふしがあったくらいだもの。
 どうやら、ネット界に限らず、世間一般でも、似たような誤解が蔓延しているらしいのである。

 ただし、日本で健康食品として扱わるものの中には、れっきとした「中草薬」、すなわち中国医学(中医学)で用いられるものが、少なからずある、ということである。

 幸か不幸か、西洋医学中心の日本社会においては、これら中途半端な存在は、常に悩みの種ではある。
 つまり、薬効があっても、どこか奇特な製薬会社が経費と時間をかけて、医薬品許可を取得してくれない限りは、薬事法上、その薬効を表示できないからである。

 この辺の事情を考慮すれば、健康食品と漢方薬が混同される要因が、まったくないわけではないのである。


7月16日(土曜日)中国医学では、人参は朝鮮人参だけではない

 少し前に、朝鮮人参の乱用を戒める日録を3日連続書いたが、今回は、その人参の仲間の優れものたちのご紹介。
 いずれも、中医学(中国医学)や漢方医学において、なくてはならないものばかり。
 用途に応じて漢方薬方剤の可能性に、多彩な拡がりをもたらすのである。

(本題に入りかけたら、ちょっと邪魔が入ったので、少々失礼! 待ちくたびれるようでしたら、どうぞ「村田漢方堂薬局」サイトや「厳選相互リンクSEO」サイトなど、本サイトの姉妹サイトにどうぞ!)

 電話が鳴って出てみると、常連さんが土曜日は半ドンというのを忘れて、薬局の前まで来ている、いつもの薬を出してもらえないか、ということで、そうこうするうちに、何をしていたのかスッカリ忘れて、酒が飲めない分、たらふく食いにくっていたら寝込んでしまった。

 それで、朝鮮人参の仲間のお話は、ほんのサワリだけ。
 たとえば、小柴胡湯とか補中益気湯とか、夏の脱水症状によく使われる生脈散などの方剤には、朝鮮人参が配合されている。
 
 ところが、体質と病状によっては、その朝鮮人参の温潤・峻補の性質では、結構不都合なことが多いのである。
 その場合にどうするか?
 党参(とうじん)や西洋人参(広東人参)、あるいは竹節人参(ちくせつにんじん)などに替えるのである。

 そして、この続きは、またあした。


7月17日(日曜日)漢方のシロウト療法がどこまで意味があり、効き目がでるのか?

 薬科大学を卒業後、直ぐに一般薬局に勤務しはじめ、そこで初めて漢方薬の魅力に取り付かれた。
 幸いなことに、その薬局には将来の愚妻となるべき彼女と一緒の勤務だったから、薬局の販売業務は彼女にすべてまかせて、小生はもっぱら書店から取り寄せた日本漢方の専門書を多読・濫読の毎日。
 当時は、ひどい胃弱に悩んでおり、それを漢方で何とか治したかった。
 当然のごとく、朝鮮人参が配合された「六君子湯」や「人参湯」「半夏瀉心湯」など、およそ日本流漢方で考えられるあらゆる方剤をあさってみたが、一向に効を奏さなかったのには驚いた!
 後日、上記の半夏瀉心湯でかなり改善したが、配合生薬が「生姜を蒸して加工したもの」を使用した製剤や煎じ薬ばかりを用いていたから、ダメだったのである。
 この配合は日本漢方では当然ではあっても、本場の中国では、乾姜といえば、文字通りに、ただ乾燥しただけの生姜である。
 この違いだけで効能に雲泥の差が出てしまうのが、漢方薬の恐ろしいところである。
  未だに、日本漢方では、乾姜といえば、蒸して加工した物を使っているが、あれは中国では「煨姜(わいきょう)」というしろものに近いものである。
 このような日本漢方界の錯誤を正そうと、専門誌にまとめて書こう書かねば、と思いつつ、他に書くことが多すぎて、書かかないままであったんですよ。

 ともあれ、このようになかなか、シロウト療法では、漢方薬は効かないことが多いもので、微妙なところがあるのが漢方薬療法なのである。

 というところで、脱線に脱線を重ねて朝鮮人参の仲間の「続き」を書くのが明日になってしまった!


7月18日(月曜日)何だか今日は祭日らしい?薬局が休みだから

 何で今日が休みかは知らないが、仕事がないのはいい。実にイイ!
 時折、休日というのに当然やっているものと思ってか、随分ぞんざいな物言いの問い合わせがあるが、マナーがなってない! 明治人のやっている漢方専門薬局に向かって、あの無礼はないだろう!お客様は神様か?

 ともあれ、昨日は日本の漢方薬処方に、本来、乾燥生姜を使用すべき所を、蒸して加工した煨姜(ワイキョウ)もどきが使用される為に、本来の効力を台無しにしていることを書いたために、どうしても朝鮮人参の仲間たちの続きにたどり着かない。
 酒を全く飲まないのに、昨今しらふで酩酊状態かも?
 再度、人参関連を書くぞ、と決めてしまうと、自分自身に対してトウヘンボクが出て、逆らうのである。
 [もう一人の自分」というイギリスの何とか言う超有名な作家の小説の題名どおりである。
 この作家の全集を所持しており、多くを読んでいるのに、急に名前を思い出せない。(グレアム・グリーンでした!)
 度忘れというより、脳の老化現象を認めざるを得ない。   
 だから今日も、人参の仲間、党参や竹節人参、西洋人参などにたどり着けない。
 
 いつかはたどり着くだろうよ?


7月19日(火曜日)日本漢方界の大いなる錯誤:「生のひね生姜であるべきものは乾燥生姜を用い、乾燥した生姜、すなわち乾姜を用いるべきものに、わざわざ飴色になるまで蒸して加工した煨姜(わいきょう)もどきを用い」るのは、明らかな錯誤である

 「肺がん検診の胸部レントゲン検診が有効性に乏しいので廃止?」というのをテレビニュースで見たのではなく、チラッと聞いたのだが、本当だろうか?
 それが本当にしても、遅きに失したという感は免れない。
 放射線科医の近藤誠氏等が何年も前からさまざまな資料を示して、訴え続けていたことではないか。

 ともあれ、昨日からの続きで、人参の仲間ではなく、まだ「乾姜」の配合された漢方薬を続ける。
 日本では生姜を飴色に加工した煨姜もどきを使用しているのは間違いだといったが、間違いにマチガイナイのである。
 その煨姜もどきなるものを日本では乾姜として使用しているのだから、錯誤も甚だしい。
 それでも、漢方製剤といわれるエキス錠やエキス顆粒の製品で、ほんの少数ながら、奇特なメーカーさんがあって、単に乾燥しただけの乾燥生姜を使用している嬉しい製品もある。
 この、漢方薬の製剤原料としての乾燥生姜を、日本薬局方でも、たしか「生姜」と名づけているが、これも大間違いで、これこそ「乾姜」なのである。
 なぜなら、生姜というからには、やっぱり中国医学でも漢方医学でも、ひね生姜でよいから、生のものでなければ生姜と呼べるわけがない。  
 こんなことは、子供でも分かりそうな常識だが、不思議と日本の漢方界では、この辺に大いなる錯誤がある。

 ということで、今日も人参の仲間は書けなかったよ!


7月20日(水曜日)「生姜」の加工方法一つで、配合された漢方薬方剤の効能が大きく変化することが多い!

 胃がつっかえておなかがゴロゴロなるような時に、漢方では「半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)」が使われるが、日本では昨日述べた煨姜(わいきょう)もどきが配合されていることが多い。(煨姜そのものではないので・・・)
 処方集にはちゃんと「乾姜」と書かれているのだから、ひね生姜を乾燥させた「乾燥生姜」を使用すべきである。
 でなければ、乾燥生姜にある消化促進作用がかなり損なわれる。
 日本のように蒸して加工された煨姜もどきを半夏瀉心湯に使用されたのでは、その人の病症にピッタリ合っているはずでも、効力が台無しになる場合すらある。
 さいわいに、錠剤や顆粒剤になった漢方製剤でも、炮姜ではなく、正しい乾燥生姜を用いている製品も少数ながら製造されているので、大いに助かる。

 柴胡桂枝乾姜湯という日本漢方では、よく使用される方剤があるが、この方剤も日本漢方では、本当の乾姜が使われずに、煨姜もどきが使われているものだから、体質にフィットしているはずでも、へんに胃にもたれたりして、思ったほど効力を発揮できないことが多い。
 そんな人にでも、煨姜もどきではなく正しい乾燥生姜が使用されていると、胃にもたれることもなく、良好な結果がえられることが多い。
 この方剤も、さいわい日本では錠剤で製造許可を得て売られている製品がある。

 このように、漢方薬というものは、大変にデリケートで、使用されている配合薬物一つの僅かな違いで、効能に雲泥の差が生じる場合がある。
 それゆえ、日本漢方も中国の漢方も、両者をシッカリ学んだ知識のある専門家に相談したほうが無難であろう。

 以上のことはね、中医学(中国の漢方)学んでいたら、マッタクの常識なのよ!


7月21日(木曜日)漢方製剤には、さいわいに朝鮮人参を使用せずに、竹節人参や党参を配合して医薬品製造許可を得て製品化されたものがあるのだ!ところが西洋人参を配合した医薬品はどうも見当たらない。あのような中草薬が健康食品に分類されているのもチト不便である

 しかしながら、西洋人参が配合された医薬品は日本には多分見当たらないだろう?
 西洋人参なんぞは、朝鮮人参に似た元気を増す効能を持ちながら、穏やかに冷やす性質が特長である。
 それゆえ、生脈散(麦門冬・朝鮮人参・五味子)という夏の脱水症状にも応用される方剤の、朝鮮人参を西洋人参に替えるとか、それぞれ半々の配合にするとかね。
 ところが、この西洋人参、日本では健康食品ときている!
 どこか奇特な製薬メーカーが医薬品の許可を取得してくれないものか。でなけりゃ、不便でしようがない。効能がうたえないしね。

 朝鮮人参配合のこの「生脈散」を顆粒剤にしたてた漢方薬(医薬品)を、真夏の炎天下のチヌ釣りで、脱水症状を起こしかけた時に使った経験がある。
 この製剤、チト人参の配合比率が多すぎるものだから、脱水症状に幾分効果があったものの、体があまり冷めてくれない。
 却ってホテルほどだ!
 ヤッパリこんな時は朝鮮人参のかわりに西洋人参でなければ!と思ったものである。
 
 でも、やっぱり西洋人参は、日本では食品扱いだから、ここでもあまり書きにくい。こんなところが、大変不便な日本である。
 中医学の常識を、あまり大声では言えない、というのだから、不便この上ない。
 逆に、この食品扱いをいいことに、たとえば「田七人参」なんかは、医師でも薬剤師でもない、薬事法というものをあまり知らないらしい普通の人たちが、効果を声高に宣伝して販売しているようだ。

 おかしな日本なんですよ。
 中国における中草薬といわれるものは、すべて医薬品にしてしまえば、乱用防止につながって、多少は安心と思うのだが。(これは薬剤師の手前ミソだと、袋叩きに合うかもね?!)

 でもね、言っておきますけどね、生脈散の中の朝鮮人参や、日本でアトピーに乱用される「白虎加人参湯」の中の朝鮮人参を西洋人参に替えるというのはですよ、中国では当たり前、当然のこと、しばしばやること、しょっちゅうやっていることなんですよ!
 当然やるべき配合である、ということですよ。これ、中医学の常識!
 生脈散や白虎加人参湯の方意(使用目標)を考えるとですよ、ヤッパシ朝鮮人参の配合よりも広東人参(西洋人参)の方が適切な場合が多いんじゃないでしょうかね、ということなんですよ。

 何ともはや、融通のきかない日本だと思いますよ。いろんな面でね。
 今日はチト、一般の人にはむずかしかったようで、ごめんなさいね。


7月22日(金曜日)お問い合わせ内容 : B型肝炎のキャリアですが、××歳現在まで肝炎を発病することなく元気に過ごしています1年に一度ほど、病院で検査をしています自主的にうこんを飲んでいましたが、最近になって、○○○○で売っている田七人参エキスも飲みはじめました併用は大丈夫でしょうか?

 拝復 一般論で言えば、併用上の問題はありませんが、B型肝炎のキャリアといわれるからには、問題は、ご存知のように「B型(肝炎)ウイルス」です。
 ウイルス除去あるいはウイルスが暴れないように考えた場合は、中医学(中国医学)では、まず、「板藍根」を中心に考えるのが、常識です。そのほかは弁証論治による体質に応じた配合を使用します。

 ともあれ、中心となるべき中国では立派な中草薬である「板藍根」も、日本では不幸なことに食品扱いです。(不幸という理由は、規格が定まらないからです。)
 そちらのお近くにも、きっと、中医学(中国式の漢方)に詳しい先生がいる筈です。
 現在、使われているものも悪くはないでしょうが、肝心なウイルスに対する配慮が、なされていません。
以上、ご参考までに。

 上記の問い合わせは、ちょうど昨日にあったばかり! 
 中国では中草薬でも、日本で健食扱いされるものに対する返事は、微妙でネ、むずかしいのよ。 でも、中医学では常識的なことだから、簡単なお返事メールが上記の通り。
 ただし、ここでは書かなかったが、健康食品であっても、質問者が使用している「うこん」なるもの、これが「C型肝炎」だッたら使用しない方がよいことは、以前にもこの日録で述べたとおりである!



7月23日(土曜日) ウコン問題の続き!
健康食品による肝障害被害報告で一番多いのがこのウコンなのです!
(アレッ! いつの間にか人参の仲間の続きがどこかへ行ったぞ?!)


ウコンがなぜC型肝炎に悪い場合があるかって?! 
 そりゃあ〜、あんた、鉄分の蓄積よ。Feですよ。
 「うこん」は鉄分が豊富ですからね。
 クルクミンという肝臓に良い成分もありませうがね。
 鉄欠乏性貧血の人には鉄分は大変重宝だけど、まあ、これが人によってはわざわいするってことですよ。

 大体ね、C型肝炎じゃなくってもネ、鉄分の過剰摂取は、肝障害を引き起こすってことなんですよ。肝臓に蓄積しますからね。
 鉄分の蓄積によって活性酸素が発生するって寸法ですよ。
 たとえば、酒の常用者なんぞは、鉄分の吸収過剰を生じやすいから、チト気をつけなけりゃね。

 生理過剰などで女性に多い鉄欠乏性貧血には、鉄分の補給というのは、ぜひ必要ですけどね。

 ところが、酒飲みやC型肝炎患者など、またこれから演繹すれば、各種肝臓疾患を持つ人は、まあ〜、鉄分は過剰に摂取しない方が無難かもね。
 
 貧血の問題では、たとえば再生不良性貧血などで、輸血を常時しなければならない患者さん達も、肝臓に鉄分が蓄積しないように、注意が必要となってくる。長期の輸血は、どうしても鉄分の蓄積が生じやすいってワケよ。

 C型肝炎の新しい治療方法ではね、瀉血してワザワザ貧血を起こさせてやる治療法が流行する時代ですぜ。
 成績は良好、という話だが、ある大学病院の医師に直接聞いた話によれば、随分前からその大学でもやってみたが、結果にそれほどよいものがなかったので、現在は中止しているとか。
 もしかすると、学閥の問題もあるんかも知れんけどね。

 蛇足: ウコンの肝障害被害といったって、3年間に36人でしょ! わずかなものですよ。
 あのテレビで盛んに宣伝している水虫内服薬の肝障害被害の方が、はるかに多いのです。
 ヒゲ薬剤師の薬局だけでアナタ、何人肝障害被害の実態をつかんでいると思いますか? 
 そりゃ〜〜ひどいもんです!


7月24日(日曜日)7月14日の日録で弱音を吐いたヒゲ薬剤師の後日談 いままでよく効いていたはずの難病患者さんの漢方薬配合が効かなくなった、と思っていたが、病院に行くまでには効き目が復活し、検査では却って以前より良くなっていた!

 その日のヒゲ薬剤師の落胆振りはひどかったが、上記の通り、病院に行くまでには症状がきれいにおさまった。
 検査上は、むしろよくなってるとて、多少強い対症療法を行う必要もなく、引き続き漢方薬中心の治療を続行することとなった!

 ホット胸を撫で下ろせた。あの配合で、もう効きませんといわれれば、名案が浮かぶまでには一週間以上、頭をひねらなければならなかっただろう。
 ということで、よかったよかったの、この土曜日の報告による安堵感から、本日はもう人参関連のことも、それ以外のことも、何も書きたくないくらいに、却って強い疲労を感じるから、これでオシマイ。


7月25日(月曜日)漢方薬方剤の「木防已湯」(もくぼういとう)の中の人参は? 本当に朝鮮人参でいいの?

 チョットこれ、専門的に過ぎるんだわ、やっぱし。
 こうやって無理して言葉だけくずしたってダメだね。
 こりゃ〜、専門家向けぜよ。結論から言えば、どうも竹節人参の方が、適切ではないか、ということ。
 今じゃ、並みの朝鮮人参より高価なんじゃないの?ね〜え、ウチダ和漢薬さんよっ! 仕入れ価格はどうです?

 まっ、そんな値段のことははどうでもいいや。
 
どうせ、今頃は漢方製剤、要するにエキス粉末や顆粒剤ばかりがメインの仕事だもの。
 煎じ薬ばかり作っていた時代から、木防已湯は、朝鮮人参ではあまり効を奏さず、竹節人参なら良く効いた。

 ヒゲ薬剤師が、途中からあまり好きになれなくなった吉益東洞大先生は、朝鮮人参には「心下痞硬」を治すって書いてあったようですが、しばらく「類聚方」や「薬徴」を取り出すことがないから詳細は原書を見て下さいよ。

 朝鮮人参に「心下痞硬」を治する作用が、それほどありますかね? むしろ胃に痞える人もありますよ。
 やっぱり、竹節人参のほうこそ「心下痞硬」を治す作用が強いんじゃないでしょうか。
 もちろん、ここはヒゲ薬剤師の個人的な見解が強いのかのしれませんがね。
 とりわけ、木防已湯の中の配合では、同じ人参という名がついていても、効能の差が歴然としてあらわれるように思うのですが、如何でしょうか、専門家の皆様。
 もちろん、弁証論治によっては、木防已湯中の人参は朝鮮人参のほうがよい、という場合もありましょうが、一般傾向としては、竹節人参のほうが適切なことが多いように思うという訳です。
 
 エキス製剤で、木防已湯に竹節人参を配合したものと、朝鮮人参を配合したものが市販されていますので、比較検討は容易ですよ。

 という訳で、今回は、一般の皆さんにはチンプンカンプンかも。


7月26日(火曜日)芥川龍之介はナゼ自殺したのか?


     げに人間の心こそ、無明(むみょう)の闇も異ならね、

     ただ煩悩(ぼんのう)の火と燃えて、消ゆるばかりぞ命なる。



 龍之介が書いた小説『袈裟と盛遠』(けさともりとお)に出てくる今様(いまよう)である。
 意味が理解できる人には、いかに絶望的な内容か、晩年の龍之介の姿を暗示するかのようである。

 人生は些事(さじ)からなる。
 結局は、女性問題なのだ。
 色男はつらいとは、コシャクナ。

 あれだけの秀才も、女性関係のもつれ、彼女から脅迫めいた言葉に、結局は絶望して自殺した。
 現実は、それほどのものなのだ。

 北原白秋が不倫問題で収監されたことに、ひどいショックを受け、異常に恐れた龍之介である。

 「女ぐらいのことで、自殺するなんて」と、ここで書こうものなら、女性差別だ!と、袋叩きか?

 いつ頃から、これほど日本人は、女々しくヤワになったのか?
 へんにプライドだけは高く、実質が伴わない!
 ところが、芥川龍之介には、実質が大いに伴っていた。
 実質が伴っていただけに、自殺の理由が、気に食わない。
 夏目漱石を永遠に乗り越えられない所以であろう。

 それにしても、前掲の今様は、人生の真実を的確についている。
 数十年前から出典を調査し続けたが、結局は出典不詳。
 となれば、やはり芥川龍之介自身の作った今様らしい。

 要するに、人生は些事(さじ)からなっている。
 絶望のどん底、地獄から這い上がったものだけが、人生の真実を会得できるのであろうか。
 
    これすなわち「悟り」



7月27日(水曜日)先ほど送られてきたばかりの東亜医学協会⇒●発行『漢方の臨床』誌7月号に、春日井市の灰本医師の注目すべき論文!

 それにしても、昨日の写真、クッキリとよく撮れてるよ!(あまり残しておくと場取り過ぎ、重過ぎるので、いずれば撤去しなければなるまい)

 まっ!それはともかく、朝鮮人参の「代用品」とされる党参の有用性を書くつもりが、上記の通りである。

 灰本先生の「慢性腎不全における黄耆の血清クレアチニン低下作用」と題された御高説、今後、相当な反響を呼びそうである!

 ヒゲ薬剤師の薬局でも、黄耆の配合された補中益気丸・六味丸・インチンコウ湯加減方の製剤の組み合わせで、クレアチニンも尿素窒素も、急速に改善している患者さんがあるものの、過去には慢性腎不全の漢方治療の難しさを、痛いほど味わっている。

 それゆえ、かなりな朗報となりうる内容豊富な、注目すべき臨床実践の成果が、かなり詳細
に報告されておられるので、欣喜雀躍したほどである!

 キーポイントは、黄耆の使用分量にも関連性がありそうだ。 

 これに弁証論治が加われば、相当に威力を発揮しそうに思われる。


7月28日(木曜日)青森の林語堂さんから、古書が108冊送られてキタ!

 マニアックな趣味と言う点では、今の時代、戦前の古書ばかりを集めたがるヒゲ薬剤師も、人後に落ちない。
 今回も主として明治時代の本だが、復刻版だから実際の出版は昭和五十年代。
 夏目漱石の単行本のそっくりさんたちで、22冊で不揃いだが、1万8千円。
 85冊は岩波文庫創刊40周年記念の箱入りセットが5千円。
 あと1冊は、会津出身の『正伝 野口英世』。先生に対して長州出身のヒゲ薬剤師は、チトうしろめたい。

 漱石の『三四郎』の本物そっくりさんの映像を御覧に入れているが、「哲学の煙り」をヒゲ薬剤師に教え込んだ広田先生も、今ではヒゲ薬剤師よりも随分年齢が若くなってしまった。

 本来なら、文学専門のホームページもやりたいのだが、相談相手のWebデレクターU女史に、それとなくほのめかしても、社交辞令(おせじ)さえ言ってくれないから、あきらめている。

 きょうは、寝室兼書斎の映像も入れたが、御覧の通り、もはやソファーに細くなって寝る以外にない。
 本を買いすぎるお陰で、これを広げて、ベッドにすることも出来なくなった!
 漢方や医学・薬学系の書籍以外の文学書類などを合計すると、実際には6万冊にはなってしまう蔵書である。
 
 売れば二束三文ですがね。いまどき、本なんぞは、引き取っても呉れないことが多い時代だから、ヒゲ薬剤師なきあとには、後始末する子供達の恨みがましい顔が、いまから浮かぶようで・・・@*@*@*@*!!!


左端が、寝室兼書斎にあるソファーベット。真ん中の写真がソファーがある部屋の壁。右端の本こそ、哲学の煙の『三四郎』の原本の複製7月29日の日録も兼ねてます。



7月30日(土曜日)今日も寝場所に困惑。寝なけりゃいいんで、夜中の1時半からだが、人参の仲間の話を続ける

 朝鮮人参の仲間たちに関する相当な分量の資料を収集して、まとまった論文にするつもりで準備していたが、専門誌に書く機会が何度もあったのに、みずからつぶして、プッツンしたっきり。
 その資料もどかへ行って行方不明。

 少し前に書いた「竹節人参(ちくせつにんじん)」は、中国では「竹節三七」ともいって、日本で今ブームの「田七人参(でんしちにんじん)」の仲間にしている。
 でも、田七とはまた違った独特の有用性があって、小柴胡湯(しょうさいことう)や木防已湯(もくぼういとう)など、朝鮮人参の替わりに使用するのが適切だとヒゲ薬剤師自身は信じている。

 実際の所、ある種の心不全ばかりでなく、一般の浮腫などにも応用がきくこの「木防已湯」は、朝鮮人参配合のものと竹節人参配合のエキス製剤が製造されているので、少人数ながら比較実験したところ、明らかに竹節人参配合の方が、効果がよかった。
 朝鮮人参配合では利尿作用がほとんど発揮できないこともあったが、後者では充分有効であった。
 少人数とはいえ、ここまで歴然とした効能に違いが出れば、木防已湯には、竹節人参でなけりゃ、という気になってくる。
 したがって、ヒゲ薬剤師の薬局では、朝鮮人参配合の木防已湯の製剤は置かなくなった。

 あのね、唐突だけど、今使っているHPを作成するソフトとは別に、新たなソフトを導入して、システムを覚えようとしているんだけど、頭が老化していて、なかなか要領を得ないで苦労しているんですよ。
 やっぱり、欠点が多くとも、使いやすい今のソフトのままで行くか、とか弱気になってネ・・・・


7月31日(日曜日)二ヶ月前、漢方薬のネット通販を自粛するようにとの強い要請が、某漢方メーカーより、取引先にファックスで届いていたが、製薬会社としてのアリバイ工作ではないか、とのかなり穿ち過ぎた噂も出る始末

 アリバイ工作などというのは、いたって失礼な噂である。

 しかしながら、そのFAXには、当局からも「医薬品の濫用助長」防止の観点から常々指導があるように、栄養剤的なものでない限りは、自粛して欲しいとの強い要請があったのは確かである。

 また、ネット通販を行うことは、契約にも反することだ、というような意味も書かれていた。

 まあ〜、これにはヒゲ薬剤師は大いに賛成なのである!

 たとえば、ヒゲ薬剤師が開発指導した「生薬製剤二号方」など、ネット上で安易に販売が出来るほど、皆が皆に適応する漢方薬(医薬品)ではないのである。
 安易な販売によって不必要な副作用を出し、問題を起こして欲しくないのである。
 この開発指導者自身のヒゲ薬剤師がこのように危惧しているくらいだから!

 漢方薬というものは個人個人の特殊性に対応した医薬であるだけに、最初はすべからく直接面談による詳細綿密な相談によって販売されるべきで、最初から安易に通信販売は行うべきでない、という信念がある。

 しっかりとピントの合った漢方薬方剤が見つかって以後に、長期にわたる服用が必要となる場合に、遠方であるなどの理由から通信販売に切り替えるケースとは、次元と意味内容がまったく異なるのである。

 ヒゲ薬剤師も漢方専門薬局を経営する一薬剤師の立場としても、個人的には、強く自粛を求める某メーカーのFAXの内容には賛辞を贈りたい。

 アリバイ工作などというイタラヌ噂は、チト穿ち過ぎだと思ったものである。


8月1日(月曜日)今や保険漢方でもよく使用される補中益気湯だが、朝鮮人参の替わりに「党参(とうじん)」を配合した市販の漢方製剤もある。

 補中益気湯が適応するのは、脾胃気虚による中気下陥であるが、こんなことを書いても、専門家でない限りはチンプンカンプンであろう。
 要するに、全身各部の筋力が弱体化するような疲労状態を指すのである。
 これには例によって、朝鮮人参が配合されているが、昔、中国ではあまりにも高価だったから「党参(とうじん)」で代用したといわれる。

 ところが、驚くなかれ、一説には、傷寒論時代の人参というのは、実はこの「党参」なのである、と大真面目に分析考証した文献が、中国の中医学関連書籍の原書で読んだことがある!
 (あるいは中医学・薬学のトンデモ本だったのか?あるいはヒゲ薬剤師の読解間違いか、勘違いか?)
 いずれにせよ、当時これは面白いと、専門誌に報告するつもりで、大事に保存していたはずが、見当たらない!?
 近年、ヒゲ薬剤師の老化現象はすさまじいものがある。
 多くを書き残したまま、頭が老化して、採集した大事な文献類の、多くがどこの書棚の、どの付近にしまっているのか、皆目思い出せない。

 ともあれ、この党参は、甘味があって薬効的にもマイルドであるから、大変使いやすい。
 朝鮮人参には、浮腫をよんだり、高血圧を誘発したり、時に微熱をもたらせたりと、乱用を慎むべきだが、薬効がおだやかなぶん、党参には朝鮮人参ほどの、欠点が少ないのである。

 市販薬では「補中益気丸」という名で、売られており、もちろん保険の対象外だが、クセが少ない分、愛用者は多い。


8月2日(火曜日)漢方薬方剤『補中益気湯』中の朝鮮人参のままの配合と、党参(とうじん)に替えた方剤との使い分け

 少なくとも朝鮮人参配合よりも党参の配合にしておいた方が無難な場合から書いてみよう。もちろん実例に基づく話である。

 よく、お年寄りのパッキンが緩んで小便をもらしてしまう、というケース。
 認知症?(認知困難症としたいところだ!)が出現していない限りは、割りに有効な方法が、補中益気湯加減方に六味丸加減方の配合の組み合わせである。
 弁証論治の結果として、このパターンが過去に多かったという訳である。
 これらの老人は多くは、高血圧症を持っているので、昇提作用のある補中益気湯では、朝鮮人参の血圧を上げてしまう作用が、さらに問題となる場合がある。
 それゆえ、尿漏れ患者で高血圧症合併の場合には、朝鮮人参を党参に替えた製剤の方が、無難でということである。

 朝鮮人参のままが良いケースは、もちろん多々あり、低血圧気味であれば、なおさら使いやすいし、より効果的である。
 炎症が激しくない潰瘍性大腸炎に、補中益気湯合六味丸を中心にして緩解できたケースや、全身性エリテマトーデスでも、同様な配合で緩解しているケースもある。
 ただ、これらの例示を病名漢方として、そのまま使用すると、弁証論治の原則を踏みにじる行為で無謀である。

 たとえば、十全大補湯(これにも朝鮮人参が配合されている!)という補剤は、保険漢方として病院から頻繁に出されているが、適応外の患者さんにまで乱用されている実体は、まぁ〜〜目を覆いたくなりますね。
 この暑い夏に服用して、風呂上りにのぼせて、ひどい鼻出血(はなぢ)を出して却って調子を悪くした人もいるんですよ。

 漢方薬といえども、適応外の人が服用すると、合成医薬品ほどではないにせよ、やっぱり副作用が出るのであります。


8月3日(水曜日)今日だけ漢方薬を忘れて「無料ブログを始めるの記」 無謀?にも、3つもはじめました!(それが、決して無謀ではないんだな〜?!)

 それが、自分では決して無謀とは、思わないんだな〜ぁっ。
 仕事上、深刻なご相談ばかりだから、おしゃべりが得意なはずだが、実際にはそうでもない。

 はるかに書くほうが楽なんですよ。
 作家でもあるまいし、名文を書くつもりはモウトウないから、気が楽なもの。
 悪文を流れるように書けるんだもの。
 これでも、長い年月にわたって、原稿用紙1枚で、4千円も稼いでいたんだぜっ。
 それば全部、釣竿か書籍代に化けましたけどね。
相互リンク専門サイト運営記録
漢方専門薬剤師による漢方薬方剤漫遊記
文武両道・失われた日本の心

 はじめたばかりだから、まだ内容は空疎そのものですが、今年中には、膨大な分量に膨れ上がりますよ。

 書くスピードだけは、誰にも負けやしませんぜ。
 悪文であることには、どうしようもありませんがね。


8月4日(木曜日)早速、ブログに書きました、漢方薬方剤の口訣ですよ!ヒゲ薬剤師直伝のクケツです。『漢方専門薬剤師による漢方薬方剤漫遊記』っていうのが、それですよ。まず、手始めに「芍薬甘草湯」から

 この日録も、一周遅れの長距離走者みたいだが、その日の雰囲気を出すには、やっぱし、その日が終ってから書くのが、当然でしょう。
 決して、一周遅れとは思いませんがね。

 一人で難癖つけて、一人で言い訳していますよね、これは・・・。

 まっ、実際に遅れ気味になって、朝鮮人参の続きも中断しているのは、はじめてのブログを一度に3つも始めた、というどころか、先ほども『古本あるいは古書の楽しみ』という、新たなブログも始めてしまいましたよ!

 よくやるねって感じですが、しゃべるのより書いている方が、はるかに楽ですよ。
 
 ともかく、上記のブログの一つでは、漢方薬の各方剤に対するコメント集である。
 江戸時代頃には、これを口訣(くけつ)と言っていたんですがね。シッテマッカ〜?

 手始めに「芍薬甘草湯」という、一種の痙攣的な疼痛を治す方剤でから出発である。
 日本漢方が墨守する配合上の問題点を指摘した内容となっている。

 でもね〜、気楽に書いたブログでも、どうしても内容は専門家向けなんですよ。


8月5日(金曜日)新しいブログ「漢方専門薬剤師による漢方薬方剤漫遊記」の最初に書いたばかりの芍薬甘草湯の内容に、早速身内からクレーム!

 三十年以上も前の治験例を出したものだから、女性薬剤師と意見が食い違って、大問題となってしまった!

 何がって、屋根から落下して25年間も腰が曲がって入退院を繰り返していた男性に、半年目にして「桂枝茯苓丸料合芍薬甘草湯」の煎じ薬で、腰がまっすぐになって、即効的に回復していった人の例である。

 最初の半年は、ヒゲ薬剤師の記憶では、桂枝茯苓丸料の煎じ薬だけで、様子をみていて、効能がもう一歩だから、その半年後になって、ようやく「芍薬甘草湯」を合方したのと記憶が鮮明なのであるが、女性薬剤師は、それは逆だと言い張るのである。

 彼女に言わせれば、その時の鮮やかな速効から、なるほど打撲・捻挫類には、時がいくら経過しようとも、活血化瘀の方剤、とりわけ「桂枝茯苓丸」というものの、重要性、貴重さ等を認識した、鮮明な記憶がある、と言い張るのである。

 それでは、なるべく早急に、当時の相談カードを見つけて、決着を着けようじゃないか、ということになっているが、現在、仕事の最中だから、決着は今夜になりそうだ!


8月6日(土曜日)この猛暑に激務の3時間! 猛暑に対抗するには「牛黄+朝鮮人参」の配合薬が大人気!
疲れて、まだ書けてません。チョットお待ち下さいマシ (なお、昨日の論争、やっぱし、ヒゲ薬剤師の方が、あってました。但し、桂枝茯苓丸料と合方したのではなく、単独の芍薬甘草湯に切り替えたのでした。詳細は、昨日の日録に戻られ、ついでに「漢方専門薬剤師により漢方薬方剤漫遊記』を訪問してみて下さい。)

 お待たせしました。上記のこの猛暑に、少し前まで、温性の朝鮮人参の使用には注意を要すると、さんざん書きまくっていながら、一見矛盾した発言に見える。

 ところがですよ、牛黄という清熱作用が強く、意識をしっかりさせる作用のある薬物と、この朝鮮人参は、大変愛称がよい。
 つまり、お互いの偏った作用を打ち消しあい、誰が服用しても副作用のでにくい配合薬として重宝なのである。

 だから、漢方薬の製剤原料というものは、単品、つまり単独で用いず、少なくとも2種類以上の配合によってバランスを取った方が無難だということ。
 ただし、必ず専門家との相談の上、適切な配合薬を選択すべきなのである。

 ただ、上記「牛黄+朝鮮人参」の配合であれば、多くの人に、かなり即効的な疲労回復効果が得られるのである。

 漢方系の医薬品でありながら、患者さんの特殊性を目標に使用する一般の漢方処方と違って、西洋医学的な人類に共通した普遍性のある医薬品である。
 つまり、多くのどなたにでも優れた効能を発揮しやすい、ということである。

 ただし、効果もよいが、とても高価ですぜっ!


8月7日(日曜日)漢方薬の製剤(製品)は、製薬会社それぞれの特徴がある! だから、同一処方でも、組成成分を充分に検討・把握して用いなければ、証があっているつもりでも、充分な効能を発揮できないことがある

 だから、漢方薬を取り扱う側が、相当な知識をもっていなければならない。
 処方名しかしらないという医師・薬剤師は、本来なら、漢方を取り扱う資格は、ない。
 配合内容をかなり熟知していなければならないのは当然のことである。

 先日も述べたように、日本で「乾姜」(カンキョウ)と記載されている場合は、中医学でいう「炮姜」(ホウキョウ)のことだから、お話にならない。
 効能は、多かれ少なかれ削減されてしまう。  意外に捜せば、同一方剤でも、正しく乾燥生姜を使用して製造された製品類があるものである。
 その場合には、組成成分の記載が、必ず「生姜」(ショウキョウ)となっている。

 また、これまでも何度か取上げた記憶があるが、膀胱炎や腎炎・輸尿管結石などによく使用される猪苓湯でもそうである。
 製造時の阿膠(アキョウ)の加え方で左右されるような印象がある。
 よく効かそうとしたつもりらしいが、些か効能を削減しかねない製法が、アキョウ以外の成分を煎じたエキスに、そのままアキョウ(ゼラチン)を加えたものである。
 ところが、この推測も少しあやしくなって来る現象が、昨年から続いている。

 保険のきく某メーカーの猪苓湯は、全部を煎じてエキスを抽出しているような記載であるが、これが効かないといって、ヒゲ薬剤師のところに相談に来られる方が続いている。
 アナタの病状には合っているから、効かないはずはないよ、と言っても、本当に効かないという。
 試しに、同一方剤の保険のきかない当方の猪苓湯を服用してもらうと、よく効くのである。
 当方からの猪苓湯も、アキョウは後で加えたものではない。

 人数としては、それほど多い訳ではないが、あまりにも目立つ出来事である。

 日頃から、病院などでもらえる保険漢方は、少し安上がりだから、積極的に利用するように、皆さんに推奨しているが、方剤によっては、時に???ということもあるから、漢方薬製剤というものも、天然原料だけに、微妙なところもあり、証が合っているからと言って、使っている製品によっては、効力を発揮できない場合もある、ということである。

 そんな場合には、試しに製造メーカーをかえて、もう一度、同一処方を服用してみるべきなのである。

 なお、ヒゲ薬剤師自身の経験でも、尿路結石の折、猪苓湯中のアキョウを抜き去った煎じ薬の方が、断然効能がよかった。
 アキョウは、時に邪魔である。猪苓湯のせっかくの利尿作用を邪魔してしまう、ということである。


8月8日(月曜日)売れ行きが悪いと製造を中止される漢方製剤! 採算が合わないとメーカーも止むを得ない。赤字を出してまで製造しろというのは残酷。 ヒゲ薬剤師がいま、最も心配している製品:『結胸散』(剤盛堂薬品製造)は大丈夫だろうか?

 熱邪が心下に陥入し、内部から生じた痰と結合して「小結胸」を生じたものに適応する方剤が、小陥胸湯(半夏・カロニン・黄連)という方剤である。
 この方剤にカロコン・茯苓・白朮を加えた製剤が、上記の『結胸散』である。

 と、専門用語を出すと、一般の方にはチンプンカンプであることは、百も承知。
 ただ、この製剤、風邪のこじれた時は、そうでなくとも近年「肺熱」傾向が目立つ時代、辛夷清肺湯などと、この『結胸散』を合方する機会が大変多いのである。

 柴陥湯(小柴胡湯+小陥胸湯)という方剤もあるが、ヒゲ薬剤師のところでは、ほとんど使用する機会がない。
 しばしば、温燥の小柴胡湯が邪魔になる、とは以前も述べたとおりである。

 この『結胸散』は、一般の痰熱互結の証候に使用されるだけでなく、肺ガン患者さんでも、適応証があれば単独方剤であっても、胸痛や胸水を除去できるなど、大変重宝な漢方製剤なのである。
 但し、多くは併用方剤が必要となるが、これは正確な弁証論治の結果のゆえで、当然のことである、。

 そんな素晴らしい製剤であっても、日本全国でそれほど大量には売れていないらし、もしかして製造中止にでもされたら、かなわないな〜〜と不安に思う昨今である。

 是非、日本全国の剤盛堂さんと取引のある薬局さんは、積極的に活用して欲しいものである。

 活用価値の高い製剤であることは、間違い、ナイ。


8月9日(火曜日)書く必要がなかった昨日の漢方製剤 偶然、本日の午前中、剤盛堂薬品の社員が、和歌山からやって来られた。 ヒゲ薬剤師が心配していた『結胸散』は製造中止のリストには無かった。

 だから、結果的にはあのような宣伝は書く必要がなかったのだから、即刻削除しようとしたら、まあ〜、もったいないからそのままにしておいてくれ、というのでそのままにしている。

 だが、あれを悪用されて、またネット上で、乱売されても困るから、と思うのであるが、痛し痒しである。

 メーカーとしても、やはり採算が合う製剤ではないのは事実のようである。

 ただ、無闇に必要もない人にまで、売りつけられたり、過剰な効能を宣伝して、ネット販売されたのでは、ますます漢方薬のイメージダウンにつながりかねない。

 やっぱり、書くべきではなかったかも???


8月10日(水曜日)午後、県の薬務課の業務調査あり! といっても、一通りの調査が終って、いわゆる「漢方薬」と称するにせ漢方薬問題! 天天素による死亡事件しかり、地元、山口県でも以前勃発した糖尿病用の中国医薬品による死亡事件など・など・など・・・

 漢方薬や医薬品類のネット通販問題ともからめて、結局、そこに話がいってしまう。
 当方としても、一番気になるところで、このネット界の危ない現象に話題が及ぶ。

 これが自由社会の危険性というものだろう。
 漢方と偽って販売される多くの中国直輸入品や、現地での個人購入がいかに危険なものか。
 この危険性に対する認識のなさが、日本人のおめでたさ、といったら言いすぎだろうか。

 次に、テレビ宣伝が盛んな水虫薬問題である。

 水虫内服薬による肝臓障害頻発の問題についても、注意を払われるよう、お願いする。
 保険調剤薬局からの、報告事例があるのかないのか、漢方薬局から事例報告するなんて、自分自身で納得がいかない。

 病院薬剤師や、保険調剤薬局の薬剤師諸君は、その実体が摑めていないのだろうか?

 よもや、「肝障害などは、もともと付随する当然の副作用として、常識なんだから」、と甘く見ていることはないだろうな!?