漢方薬局薬剤師日録(5) 平成17年(9月16日〜10月22日)

漢方と漢方薬の真実>>漢方薬局薬剤師日録(5)

9月16日(木曜日)疲労が激しい一日だったから、愛用の「牛黄(ごおう)」を考えてしまうので、今日は牛黄の品質鑑定の、ヒゲ薬剤師の自慢ばなしに終始するかも  昨日今日みたいにハードな仕事をこなした後は、ヤッパリ「牛黄」がないと、体が持たない。ただし、牛黄製剤の場合、余分な配合があればあるほど、それは邪魔。日本薬局方「牛黄」とはいえ、規格にあっていても、品質により、効力には雲泥の差がある 
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 牛黄は、漢方の中でも高貴薬の最高峰の一つで、優れた効能を発揮する。

 専門的に言えば「開竅化痰・清熱解毒」の効能で、沈静・強心・造血などの作用がある。
 と、これでは一般の人には、何のコッチャ〜?ということになるので、要するに意識をしっかりさせ、心臓の負担を軽くしてくれるなど。

 開竅(かいきょう)というのは、竅が穴(アナ)の意味で、身体で言えば、手っ取り早く、塞がったら困るところ開いて、フサガラナイようにしてくれる。

 だから、故小渕元首相が、インタビュー時に、言語が出にくくなった、あの状況で、この牛黄(ごおう)を服用していたなら、きっと助かっていただろうと思うほどだ。
 それほど威力がある。
 結果的に、疲労回復作用も抜群である。

 ところが、いくら日本薬局方の規格にあっていても、産地や品質によって、効能に雲泥の差が出る。

 過去、現実に牛黄製剤の効能が、ロットごとにあまりに異なるので、そのメーカーに強く抗議したことがある。
 何種類ものロット毎の、品質の優劣をこちらで、調査したのち、それを報告と同時に、「貴社でもしっかり測定して品質が一定になるようにすべき」だと、強烈に抗議した訳である。

 意外にも、そのメーカーさんは、大変謙虚で、ヒゲ薬剤師が告げたとおりの品質の濃度、とりわけビリルビン値が、言われるとおりであったと陳謝されたのである。

 その後は、約束どおり、ビリルビン値が、一定以下にならないように、徹底的な品質管理をされて、現在は安定した効能を発揮してくれている。

 第一、その牛黄が、ロット毎に異なるのを発見した理由は、毎晩のチヌ釣りに明け暮れしている折に、その牛黄製剤を常用していた小生、ロットによって、まったく効能を発揮しない製剤があったからである。

 ヒゲ薬剤師が服用して効かない牛黄があるとしたら、それは劣等品であることマチガイナシ。
 牛黄の品質は、ヒゲ薬剤師の体感からくる薬効判定で充分把握できるほどなのだ。

 なお、付言すれば、牛黄製剤は、よけいな生薬を加えている製品ほど、効能が落ちる。
 牛黄が中心で他薬の配合が殆どないほど、優れた効能を発揮している。
 これが、現実である、と類推するのみでなく、現実にそれを証明する事例がかなりあったのである。

いま、夜中の1時半、メッタやたらに眠くってしようがない。ぶっ倒れそうダ!



9月19日(月曜日) 配合方剤に葛根湯製剤を使っているのを知って、トタンに通うのをやめる患者さんがある  葛根湯に限らず、配合方剤がありきたりな基本方剤の場合、どこにでも手に入るから、と思うのだろう、直ぐに通うのを止めて音信不通になる患者さんが毎年、数人はいる。これだから、シロウト療法は怖い。経過によって、変方したり、併用方剤の変更など、今後に様々な工夫が必要になるのが、目に見えているのに! 新人に限ってこれだから、いつまでも病気が治らないのだ。
裏版ブログは単なる日記帳に堕落中⇒●

 今日は、カレンダーが赤い日だから、仕事も休み。
 休みになって、上記のことを思い出した。

   漢方を甘く見ている人に限ってこの通りである。

 結構な難病をかかえていても、組み合わせている中心が、ありきたりな基本方剤だったら、内心ひどく落胆するのかどうか知らないが、何度か通ってきていた人も、それを知った途端、音信不通となることがある。

 世の中の風潮が、相当に漢方を甘く見て、誤解だらけの偏見をもってながめているから、そのようなことになるのだろう。

 馬鹿とハサミは使いよう、と言うが、そんな低レベルの次元ではない。

 だから、ますます常連さんの「漢方と漢方薬」の真の姿を知った人ばかりの仕事に専念することになる。

 物が見えない人だらけダネ。

 だから、9割はお断りしていて、それでも、この通りなんだから。


9月22日(木曜日) 漢方の腕自慢すればキリがないから、それよりも逆な方向で、お断りする事例集のブログも始めてしまった。この画像の「漢方と漢方薬の将来のために」という活字が浮かぶ方をクリックしてもらえば、新設したばかりのブログが読める。  自分のことは棚に上げて、文句バッカシ書いてるヒゲ薬剤師だが、漢方と漢方薬は、それほど安易なものではない、お気楽なものではない、ということが言いたいからだ!それゆえ、「お気楽にご相談下さい!」という常套句は、反吐が出るほど大嫌いだ。
画像と裏版では⇒●

 他のブログと同じ事を書いても意味が無いが、あの常套句というのは、どうも好きになれない。
 「お気楽」なんて、コチトラ真剣勝負で頑張ってるのに、お気楽にやられてはタマルカ、という思いがある。
 だから、お気楽に御相談下さい、なんて断じて思わない。

 真剣に、御相談下さい、とくら〜〜〜ナ!

 例外の無い規則は無い、というように、例外があるとするれば、常連さんたちだけだ。

 ことほどさように、漢方というものは、そうそう気楽でもないし、とりわけ中医学理論の中枢、弁証論治は、それほど「お気楽」ではないんですよ。
 お気楽にやってるところほど、きちんと相談もせずに、安易に漢方薬を販売するから、漢方そのものの評判を落とすことになる。

 これはネ、同業の薬剤師に言っているだけジャぁ〜無い部分もある。

 保険漢方で安易に出される漢方エキス剤も、かなり安易な出し方が目立って、見るに耐えないことが多い。

 そんなに、漢方は、やさしくはないのよ。

 お気楽じゃ〜無いってこと。

 皆さん、わかってんですかネェ〜〜?


9月23日(金曜日)トップページの右側少し下にもある「東洋医学の名医シリーズ」。ヒゲ薬剤師が中西医結合派として紹介されている。

裏版と画像では⇒●

ヒゲ薬剤師(村田恭介)が紹介された「東洋医学の名医」シリーズ


9月24日(土曜日)  やって来たガキども。昨日は裏版のほうで、ちょっと書いていた愚息一家、ガキンコが発熱・嘔吐して、五苓散証を呈していた。無理までして来るな!(帰るのではない、来るのである)と言っていたが、やって来てしまった。来るまでに熱も引いて、大分元気になってはいたが。それはともかく、医者のクセに、専門が違えば、だらしない。お前達が小さい頃は、すべて家の漢方薬で、あらゆる病気を治してやったんだが、漢方専門の薬剤師の方が、よほどオールランドだな〜と、愚息に兜を脱がせてやった。まっ、このクソオヤジには、前々から兜を脱ぎっぱなしだがネ
裏版と画像は⇒● ガキンコの写真付き!?

 愚息や愚娘が幼児や子供の頃は、すべてヒゲ薬剤師と愚妻の采配する漢方薬で、子供達のあらゆる病気を退治して来たが、医者のクセに、専門が分化し過ぎるから、自分の子供の病気さえ、他の医師に診てもらうことになる。

 その点では、漢方専門の薬剤師の方が、オールラウンドに、融通がきく。

 愚娘などは、大学時代に、定期試験前に無理をしてひどい風邪で、少し拗らせ気味になったとき、医者になる前に、一度くらいは患者になって、病院に行って治療してもらって来い、と電話しておいたところ、そこで出された薬は、何と![小柴胡湯(しょうさいことう)」だけだったので、漢方薬なら、家が漢方薬局だからイリマセンといて退散したことがあった。

 その時でも、結局は銀翹散製剤の天津感冒片と板藍根のエキス粉末などの併用によって治っている。
その愚娘などは、自分自身は、何があっても、いまだに漢方薬しか服用しない西洋医学の医師である。


9月25日(日曜日)2歳になるガキンコの五苓散証(水逆性の嘔吐と発熱)もおさまり、元気になったが、怖いジジ(爺)を見ると、恐れて泣く時がある とくに親たちがいないところでは、おお泣きするが、世の中に一人くらい怖い存在は必要だ! 今頃は子供となるとチヤホヤして甘やかし過ぎるから、ロクなことはない。学校の先生すら、同じ目線で、なんて教育が流行っているから、コワいもの知らずの我儘人間ばかりが出てくるのだ。
裏版ではまたガキンコたちの画像があるかも?⇒●

 この水逆の証候というのは、のどがかわいて水がやたらに欲しくなり、でも、飲んだとたんに、勢いよく吐いてしまう。
 直ぐにまたひどい口渇がして、水を飲み、また嘔吐を繰り返す、というのが典型的。

 そうだ!次の「漢方専門薬剤師の漢方薬方剤漫遊記」には、これを取上げよう。五苓散をネ。

 それはともかく、ガキンコもスッカリ治ったようで、夕方に寝込んでいる最中に、親二人は、近くの海に釣りに行った。
 医者のクセに、急にヒマが取れるようになったのは、研修医が終った後に、大学院に入ったからだ。
 また、自分の好きな免疫・血液関係の研究に没頭しているようだが、まあ〜〜お好きにドウゾ。

 愚娘の戦場のような多忙さに比べれば、急に随分楽になったようだ。
 ただし、時々当直をやって、一睡も出来ない日があると言っているから、医者も楽じゃない。


9月27日(火曜日)例によって、昨日は連休あけゆえ、超多忙 寄せては返す波の音だが、一度の来局だけで、もうへこたれて続かない人が、たまにあると、随分もったいないな〜〜と思う。昔の砲撃術のように、3度目でほぼ漢方薬配剤が、確定することを目指して頑張っているのだが・・・・・
裏版では⇒●

 大分以前に、何かの本で読んだんだが、名人の条件は、砲撃術と同様で、3度目にしっかりピントがあうことであって、一度目に合う、というのは、マグレだって〜こともあるから、理想は3回以内で、ということであろう。

9月28日(水曜日)これまでにも、病気の場合は、風邪や下痢などの、わかりきった病気以外で、不安な場合はまず病院へ、と書いているのに、「病院へ行ってないのですが、カクカクシカジカの症状で」、これ何の病気でしょうか?といった、どうしようもない質問が舞い込んで来る そんなに不安ならまず病院へ、と返信するのもほとほとイヤになる。そりゃ〜、あんまり病院に患者さんが殺到すれば、医療財政逼迫の折柄、日本政府はお困りでしょうが、薬局は病院じゃありませんからね。軽医療の相談所とは言っても、諸検査はヤッパシ病院でしょうが
裏版は?画像は?⇒●

 どこまで続くかこの日録、といったところだが、そろそろチヌが呼んでいる。
 連休後の嵐も、多分今日くらいから少し楽になるだろう?
 我が薬局の常連さんは、非常にマナーがよいから、ヒゲ薬剤師が悪戦苦闘して頭をひねったり、女性薬剤師と見解が異なって、激しい論争になっても、ニコニコして待ってくれる。
 稀に、二人の論争に、こんな薬局は、当てにならないや、と不安を抱いて退散する方もおられるが、そういう方たちは、きっと自信満々で「男は黙ってサントリー」とばかり、話もろくに聞かずに漢方薬を販売するところを好んでいるにちがいない。

 そうっ! 我が薬局では、ショッチュウ女性薬剤師と激しい意見交換が常である。
 このようにして長年互いに切磋琢磨して、ここまでやって来た漢方専門薬局である。

 年期が違い万年。


9月30日(金曜日)若い女性は苦手だから、あまり大きなことは言えないが、不妊症の漢方薬方剤は、それほど大層な経費はかからないと思うけど? 世間の情報や、あるいは行なうべきでない漢方薬のネット通販などを眺めていると、不妊症に対する漢方薬は、随分経費がかかりそうだが、ヒゲ薬剤師のところでは、多少高齢者(30〜40歳)が主体で、三十数年間に、高確率で成功してきた。比較的少ない方剤でね。だけど、昨今、ますます若い女性は、苦手でね
裏版では何を考えるやら?⇒●

 もともと、難病系統が多い薬局だから、不妊症でやって来られる人は少ないほうだが、それでも、どうしてもと頼まれたり、内膜症によるひどい生理痛が長期治らず、不妊症どころではなくなった人が、かなりな高確率でメデタシ、となっている。

 しかも、それが他病と異なって、意外に少ない方剤の組み合わせで成功した例が断然多いのだが、世間さんでは、かなり経費がかかりそう。

 といっても、難病系統では、ヤッパシかなりな経費がかかっている人が多いのが現実。

 不妊症の問題を持ち出したのは、有名病院を歴訪しても空しかった女性達が、芎帰調血飲第一加減の単方6ヶ月で妊娠。
 折衝飲のみ長期間服用で妊娠。
 桂枝茯苓丸料と当帰芍薬散を合方3ヶ月でよかったり。
 あるいは、これは経費が少しかかったが、重症のアトピーの漢方薬を服用しているうちに、医師から絶対に不可能と言われていた子宮発育不全による不妊症が治ったり、痔がひどくてそれを治していると妊娠したり、思い出すだけでも、相当に高確率であった。

 但し、ヒゲ薬剤師は、若い女性が大の苦手!  だから、三十数年間に、それほど多く相談を受けた訳ではないので、うっかりやって来ないで欲しい。
 きちんと体質に合わせれば、不妊症の漢方療法には、それほど経費はかからないのでは? と、思っただけ。
 漢方薬は医薬品なんだから、ネット通販に頼らず、必ず通える範囲の信頼できそうな専門家のところへ、直接相談して、買うべきこと!
 これが、本当の結論です。


10月1日(土曜日)複数のメーカーで、漢方製剤のモデルチェンジが行なわれつつある。ヒゲ薬剤師の主観によれば、改悪に近いものが目立つ。製品名が漢字であったものを、わざわざカタカナ名に変えて、漢方薬のイメージを消す作戦?に出た、理解に苦しむメーカーあり、内容量を変更して、とんでもない端数を見せる錠剤漢方ナドなど。あ〜〜、何を考えておられるのやら!?(ここで、ひどい溜息)
裏版では?画像は?⇒●

 世の中は、理解に苦しむことが多い。
 漢方薬の製品を、わざわざカタカナ名に変更する意味がどこにあるのやら??????????

 若い世代に媚(こび)を売って、漢方薬らしくなく、もしかしたら?!?!・・・・サプリメント的なイメージにでもしようというのだろうか?!

 まさかと思うが、今、これを書きながらフト、そんな邪推の気分に襲われた。
 案外、そんなとこかも知れないぞ。

 昨今、10年前頃に最高だった漢方薬の売り上げも、各社大いに衰退気味の折柄、まさか起死回生の妙案とは、思うはずも無いが、ワカランワカラン。

 同社では、急性で頻繁に使用される膀胱炎の漢方薬を、ワザワザ10日分の製品を中止して、20日分のみに変更するという。

 何とも理解に苦しむことだらけだ。

 会社のトップ連中が、末端の薬局の意見を求めて回るような熱心さが見られないところに限って、薬局泣かせの改悪ばかりが目立つ。

 そうっ! ワンマン社長のところへは、イエスマンばかりが取り巻いて、讒訴(ざんそ)する奇特な社員は嫌気が差して、既に退社していないのだった。


10月4日(火曜日)メールで配信される中医学薬学関係者の報道によると、医療用漢方メーカーが中医学にマイナスイメージを持たせるような新聞宣伝をされて、という報告がやって来ていたが、心配御無用! ヒゲ薬剤師は身内に多くの医師がいるから、医療用漢方の使われ方、多くの医師の漢方の造詣度?といったものを、かなり深いレベルで知っているが、中医学にヒケをとる日本漢方ならまだしも、現代保険医療で使用される漢方薬方剤の使用方法は、まるで西洋医学化漢方である。一部の例外的な奇特な先師は別として、多くは「日本の常識は、世界の非常識」を地で行く没理論の世界である。だから、心配無用。一般の方こそ、中医学流の漢方のレベルの高さをよくご存知なのである。
あんまり見てもらえない裏版では?⇒●

 と、上記の部分で本日の課題と、回答は、すべてやってしまった感じだ。
 まあ、補足すれば、日本の保険漢方を担う主流派どころが、だんだん日本漢方どころか、西洋医学化漢方に堕する傾向が、ママ見られるようになって、実に由々しい問題である。

 ここで、本音を言えば、本来、中医学のような高度で綿密な医学こそ、正式に充分学習と実地の訓練がなされた医師が、やるべきだと思う。   それが本来の姿であるはずだ。

 ところが、日本の現状を見る限り、この調子では、100年経っても無理な要求だろうと思われる。

 西洋医学主体で卒業した医学生は、国家試験に合格した後、すぐから不眠不休の臨床実習・実践におわれ、漢方の学習どころではなくなるのである。
 少しベテランになり、臨床に慣れたところで、超多忙さに変りがない。
 だから、まともなニュース報道すら見れないので、世間の常識から取り残されている先生さえいるほどだ。

 そんな中で、保険漢方を処方しようにも、よほどの学習意欲と体力が無い限りは、無理な話で、結局はプロパー(今はこんな言い方しないよな〜〜???)の言いなりに使ってるだけだったりする現実があるので、たとえ、漢方専門医と名乗れるようになっても、臨床報告数や、講座出席回数などで、自動的にもらえる制度に過ぎないのだから、臨床的な「腕」とは、無関係ってとこだ。

 ともあれ、中医学における漢方薬方剤の運用によっては、西洋医学治療で不可能な疾患が、相当なレベルで改善できるからこそ、保険のきかない何種類もの漢方薬を購入して下さる患者さんが、後を絶たない現実を、実際には一部のお医者さんこそ、横目ながらも、見て知っているのも現実なのであった。


10月5日(水曜日)漢方薬が普遍性を重視する西洋医学化されようとしている!こうなると、もはや漢方医学ではなく、西洋医学である。つまり、西洋医学における合成医薬品の評価法によって漢方薬の有効性を実証し、それに基づいて保険漢方を広く西洋医学専門の医師に使ってもらうという立場である。これは、もはや漢方医学でも、漢方薬学でもないので、随証治療はおろか、さらに高度な弁証論治の世界にも、無縁なもので、個別性を重視する漢方医学、中国医学の特長をドブに捨てたも同様である。「科学は錯覚である」ことを知らない、科学万能信仰という、ある種の新興宗教に他ならない。そもそも、科学には実証科学のみならず中医学を嚆矢(こうし)とする構造主義科学というものがある。実証科学だけが科学ではないのである。
裏版は⇒●「白衣を脱いだ漢方と漢方薬のヒゲ薬剤師」にタイトルを変更したのだった!本日は真面目に論じております!

 上記で本日の言いたいことは、ほぼ完璧に言ってしまった。
 要するに、医療用漢方の考え方には、大きな問題を抱えている、ということだ。
 あのような考えで漢方薬を西洋医学化することばかりに専念されたのでは、本来の漢方薬の優れた治療効果が発揮できなくなる。
 大きな声で断定してもいい。
 このままでは、日本の漢方は、オワリである。
 科学信仰もここまで来たか!?と驚かされる。 流感に麻黄湯(まおうとう)を無作為投与して統計を出すようなレベルの漢方なら、世界の笑いものである。
 そもそも、出だしから間違っている。
 こんな幼稚な漢方なら、ますます没理論の世界に等しい。
 「西洋医学化病名漢方」にでもしたいのだろうか?
 一部の成果を誇って、それに気をとられているうちに、いつのまにか西洋医学化された、漢方医学とは似て非なるものに堕するに違いないが、はなからそのつもりなのだろう。
 きっと、そうに違いない。
 これを、中西医結合のつもりでいるのかもしれないが、これも似て非なるもの、中西医結合とは次のようなものである。村田漢方中西医結合論


10月7日(金曜日) 一昨日、アガリクスの効能をうたった本を出版していた会社役員など6名が薬事法違反で逮捕されたという読売新聞の記事を読んだが、その記事によれば書籍で紹介された「ガンが消えた」などという体験談は、大半がねつ造だった。書籍を広告ととらえた薬事法違反容疑で逮捕者が出たのは初めてということだった。ヒゲ薬剤師の薬局では、アガリクスを扱ってないので、販売していなかった。薬局関係でも健康食品業界でも、かなりなドル箱だったものらしい。猫も杓子も、と言ったらまことに失礼な表現ながら、ガンと診断されると多くの人が飛びついてた。その証拠に、ヒゲ薬剤師のところにも、シバシバ問い合わせがあった。ところでネ、ヒゲ薬剤師は以前からアガリクスは駄目だと思ってた。その証拠にネ、他サイトでね、半年以上も前に、このようなイイ本の書評を書いてマスネン!⇒⇒◆検証 免疫信仰は危ない!(代替医療問題取材チーム) 南々社
白衣を脱いだヒゲ薬剤師は、まだ何か言いたいのか?

 実際問題として、世の中では、健康食品にも、明らかな「薬効」を求めて、高価な金額を支払って購入しているのである。
 その事実に目をつけた出版社は、アガリクスで癌が治った実際例をたくさん捏造することで、多額の利益を生み出していたのであった。

 人の弱みに最も付け込みやすい「健康食品」なのであるから、一般消費者も、賢くなければならない、という教訓である。

 アガリクスを最初に本で宣伝した某元大学教授は、その続編とともに、爆発的に売れた書籍を横目に見ながら、胃癌で亡くなられたのであった!!!
 アガリクスとは、その程度のものだった。


 とは言え、健康食品の中には、漢方薬の本場、中国では、レッキトシタ中薬・中草薬であるもの多い。 
白花蛇舌草・板藍根・西洋人参・田七人参などなど。
 これらこそ、どこかのメーカーが、犠牲的精神を発揮して、早く医薬品の製造許可と取って欲しいものである。
 でなけりゃ〜〜、健康食品であり続ける限りは、中医学的、中草薬的な説明が、出来ないじゃないか!!! クワバラ、クワバラ


10月8日(土曜日)漢方製剤にも使用期限が記載されるようになりつつある。このために、人に漢方薬を合わせるのではなく、漢方薬を人に合わせるトンデモナイ事態が加速する可能性が大! もともと漢方薬は乾物で、とりわけエキス製剤などは未開封であれば品質の劣化は少ないはずだが、使用期限を設ければそれだけ、売りたい漢方薬ばかりを売って、回転率に気をとられる結果、合わない漢方処方を売られる可能性が高まってくる。さらには、滅多に使用されないが、重要な漢方処方も、回転率の悪さから、製造メーカーの赤字を呼び、そのために製造中止に追い込まれる事態がますます加速する。そして、日本には漢方製剤が、葛根湯や補中益気湯、当帰芍薬散などありきたりな方剤ばかりの、いよいよ漢方後進国と成り下がるであろうと予測される。
白衣を脱いだらサヨウナラ、じゃなかったヒゲ薬剤師⇒●!

 使用期限の記載は、今後、漢方界に相当なダメージを与えるものと思われる。
 資源保護、限られた資源を大切に、と考えるなら、経時変化において、毒性が出現するのでない限りは、安全性に問題なければ、僅かな効力の低下くらいで、一律に使用期限を切るのはどうかと思われる。
 使用期限を設けることに、どれだけの根拠があってのことか、データーを国民に示して欲しいと思うのだが。
 実際、どれほどの根拠があるのだろうか?

 なんでも新鮮なほうがいいとは限らない。人間でも、昨今の若い女の子の・・・と、ここで暴言を吐いてまずいので、人間でもほどほど歳を取ったほうが味があるように、漢方薬でも、陳皮や半夏など、少し古びたほうが良いものの多いのと同様。
 とりわけ、日本の技術を活かした漢方製剤の保存状況を愚考するに、使用期限を設けることに、どれだけの意義があるのか分からない。
 もともと、漢方界には先走ったメーカーがあって、早くから自社基準による使用期限を設けており、業界ではゴマすりメーカーとして噂されていたものだ。
 つまり、オカミにゴマすり、ってこと。


10月10日(火曜日) 風邪の季節がもうすぐだが、風邪に葛根湯が迷信であったように、流感に麻黄湯というのも迷信である。麻黄湯の場合は、証をしっかり確認し、悪寒の強さと無汗状態をしっかり確認して使用しないと、強い発汗作用があるので、一歩間違うと危険である。ひどいときには脱汗状態に陥ることさえある。何度も言うように、現代の風邪や流感は、傷寒から始まっても、直ぐに温病に転じてしまうので、風邪や流感のときに使用できる機会は、ごく初期の半日以内くらいしかない。その時期を過ぎると無駄であるよりも、むしろ服用しない方がよい。その半日くらいにタイミングよく使用できたとしても、治るとは限らない。一時効果があったように見えても、結局は温病に移行していることが大変多いのである。結局は、銀翹散が主体だってことですよ!
白衣を脱ぎっぱなしのヒゲ薬剤師⇒●

 本音を言えば、日本漢方の優れた点、中医学よりも秀でた点、異病同治の特長を有する成果をほめ称えればキリがない。
 一方、同病異治が主体で発達してきた中医学には、なぜだか基本方剤を日本漢方ほどには大切にしているようには見えない。
 なまじいに、知識を詰め込んだゆえか、最初ッから方剤を組み立ててしまう傾向が強く、基本方剤を忘れがちになる傾向が強い。
 だが、高齢の老中医ほど、基本方剤を大切にするといわれる。

 とは言え、日本漢方、すなわち古方派漢方の優れた点だけをとりあげて、同胞を褒めちぎることばかりやっていても進歩は無い。
 欠点も大いにあることは事実なのだ。
 まず第一、急性疾患に、滅法弱い!
 中医学なら比較的容易に治せる流感でも、日本漢方では全くお手上げである!

 だから、中医学を早く取り入れよと、20年近く前から訴え続けても、とりわけ保険漢方の分野では、日本漢方の随証治療さえ捨てはじめているやに見える、とんでもない時代に突入した。
(というより、捨てる前に、持ってもいなかったといことかもしれないが・・・・)
 漢方治療におけるエビデンスの試みもいいが、いつのまにか西洋医学化が加速して、その分、却って、漢方医学(日本漢方)のアイデンティーそのものが、崩壊の危機に面している。

 20年前よりも、事態は深刻になる一方である。
 基礎理論を捨てた漢方医学に、明日は、ナイ!


10月11日(火曜日)昨日の日録で、麻黄湯で一歩間違うと危険で、ひどいときには脱汗、などとオーバーではないか、という意見があったが、ヒゲ薬剤師自身が古方派時代に、その手前の状態くらいを生じさせて苦情を言われたことがある。当時、タクシーの運転手さんだったが、寒さに遭ってひどい風邪を引いたというので、とても体格の良い人だったので、迷わず「麻黄湯」。ところが、運転する間中、寒い季節にもかかわらず、ダラダラといつまでも発汗が止まらず、次の服用がコワくなって苦情を言われる始末。あれ以上に服用していたら、どうなっていたか?30年前の、ヒヤリとした経験である。
もっと寒い地方、北海道や東北では「麻黄湯」が適応する人が多いのかもしれませんがね。
実際の所、長州じゃ〜、全然お目にかかれません。長州ではネ、真冬でも、というか、真冬こそ!銀翹散製剤(涼解楽や天津感冒片など)に板藍根や地竜などが大活躍ッテ〜〜コッテス
白衣を脱いだらさようならのヒゲ薬剤師⇒●

 まあ〜、多少はオーバーかもしれませんがね。
 そりゃ〜、合成医薬品の副作用に比べたら、ましですが、いずれにせよ、麻黄湯というのは発汗作用が強いので、反応に個人差が強すぎる。
 それゆえ、強い悪寒と明かな無汗という条件ナシには使用できない。

 ところで、古方派時代の10年間に、麻黄湯デ風邪によかったのは、赤ん坊のひどい鼻づまりに少量用いて効いたくらいで、あとにも先にも、それ以外に効かせた経験が皆無!
 葛根湯系列でさえ、ごく軽症の風邪以外は、(頚椎症関連は、無数?にあっても)、まともな風邪に効いたタメシしがない。

 ともあれ、本音を言わせてもらえば、大変言いにくいことだが、麻黄湯のような、現代社会では野蛮な漢方薬方剤となり得る。それゆえ、医療用メーカーの言いなりに使用される医師からの漢方薬が、最もコワい!
 結局、現在、漢方薬の評判を落とす要因の一つに、弁証論治はおろか、随証治療さえなしで出される病院の漢方なのである。


10月13日(木曜日)たまにある葛根湯に銀翹散製剤の併用。だから漢方、中医学はむずかしいと、つい、言ってしまうのです。理屈から言えば、傷寒と温病が併存、ということになるが、こんな理屈は中医学書籍でも見たこと無いが、現実になるのだから仕方がない。教科書的に無理に当てはめれば、一見ありえないような、現実がシバシバ起こる。
と言っても、方剤的には、多くは参蘇飲に銀翹散製剤の併用というのが、ほとんどなのだが、たまに参蘇飲ではなくて葛根湯という事例がこれまで、何人が現実にあったわけである。

白衣を脱いだヒゲ薬剤師はどこへ行く?⇒●

これが漢方のむずかしいところ。
 こんな配合、どの教科書や出版物にも書いてないと思いますよ。
 ヒゲ薬剤師の薬局では、難治性疾患のご相談が多いとは言え、長年漢方専門でやっていると、御他聞にもれず、家族中であらゆる病気の相談を受ける密接な関係になっているケースが、相当に、かなり、あるいはとても、多い。
 それゆえ、軽い風邪から流感まで、各家庭で、風邪の漢方薬セットを常備しておられる。
 大変多くの風邪や流感を漢方薬だけで対処するのだから、当方のアドバイスも真剣そのもの。
これを三十年以上やったお陰で、上記の珍妙な配合パターンが定着している。
 ただし、多くは葛根湯ではなく、参蘇飲に銀翹散製剤が初期の風邪や流感。
 寒気が飛んだところで、多くは参蘇飲を中止して、もっぱら銀翹散製剤と板藍根などが中心となる。
 ところが、たまに参蘇飲のかわりに葛根湯が適切な場合があるよ、と言っているワケ。

 こんなこた〜〜、何度も言うように、どの本にも書いてませんよ、ということ。
 これらのことを一覧表にして、様々な配合バターンをコピーして、常連さんの家族にだけ、特別待遇として、お渡しして、いつでも困った時に、電話をしてもらって、その表を見てもらいながら、適切な漢方薬の配合をアドバイスしている。

まっ、専門家も、きっと目からウロコの傷寒と温病の合併から風邪は始まるのが、現代の一般傾向なのですよ、といいたいのだが、ワカラン人には、いつまでもわからん、ワカラン


10月14日(金曜日)中国には漢方薬はない、漢方薬は日本独自の医学だ」と詭弁を弄する某企業サイトを見てビックリ!した。こういうのを言葉をモテアソブというもので、人の健康や生命に関わる医学・薬学の領域で、東洋医学の最高峰、構造主義医薬科学である中医学を頑(かたく)なに学ぼうとしない、みずからの怠慢を、言葉遊びの詭弁でそっぽを向いていて、それが良心的な企業だといえるのだろうか!?漢方薬は日本独自の医学である!と誇るのはいいが、それなら日本漢方で、流感、流行性感冒一つが、まともに治せますか!?と伺いたい。漢方は中国伝来の医学であることを認めるのであれば、中国伝統医学のもっとも基礎部分である陰陽五行学説を捨ててしまった「日本独自の医学」は、中国伝統医学の抜け殻というほかない。日本に伝わって以後は、独自に「発展」したのではなく、抜け殻へと「展開」したに過ぎない。こと漢方と漢方薬の領域だけがなぜ?どうして?日本のお家芸である巧みな「ものまね」が出来ないのだろうか?「漢方薬は日本独自の医学」であると詭弁を弄して後、現在の日本漢方のままで、西洋医学化に突き進むのみであるなら、後世にどう評価されるか、一度でも立ち止まって考えたことがあるのだろうか?流感一つも、まともに治せない「日本独自の医学」に、それほど固執する意味が、どこにあるのだろうか?「中医漢方薬学」こそ、目指すべき道ではないだろうか?
ヒゲ薬剤師の嘆き!⇒●

日の丸を誰よりも敬愛するヒゲ薬剤師がココまで言うには、やむにやまれぬ日本漢方の閉鎖性に日本国民一人として、口惜しくて仕方ないからである。
中医学を学ぼうともせず、「漢方薬は日本独自の医学」ですと嘯くその度胸というか、視野の狭さといおうか、国家には国民の生命と財産を守る義務があるのと同様に、医療人には、国民の生命と健康に対して貢献する義務があるのではないか!?
 流感一つまともに治せない「日本独自の医学」に、中医学に対して、どれほどの優位性があるというのだろうか?
 こういうことを、堂々とサイトに掲載したり、新聞宣伝をを行なう度胸に対して、まったく理解に苦しむところである。
 当方には複数の医師の流感に対して、中医学的な「漢方薬の配合」によって、数日以内に速治した実例と証言を持っている。


日本国中には、薬剤師のみならず、かなり多くの医師自身が、中医学の優位性を熟知していることを忘れないで欲しい。

10月15日(土曜日)2日前に、2ヶ月近く、微熱が続いて寒気がし、時々顔がほてって喉が痛く、耳下腺も少し腫れて微痛がある60代の女性に、葛根湯製剤に銀翹散製剤(天津感冒片)を出していたところ、本日、かなり楽になったと報告に来られた。傷寒論の方剤と、温病論の方剤を併用して即効を得ている例である。このように、時折、風邪治療に葛根湯も役に立つ時があるが、この方の場合、もしも単独で用いていたなら、咽喉腫痛も耳下腺の微痛も、どうなっていたことか?それでも20〜30年前なら、時代的な環境下において、ほどほど効いていたかもしれないが、昨今の温暖化と、家庭内における暖房設備の充実、この夏から秋にかけての、猛暑や夏が去らない秋を考えると、葛根湯単独では、まずいと思われる。それゆえ、理論的には、傷寒と温病を区別すること自体が、次第に意味をなさなくなりつつあるのではないか?というのが、昨今の感想である。教科書は、あくまで教科書。基礎理論をしっかり学んでおれば、現実に即した「臨床の飛躍」が必要であり、時代の推移によっては、後(あと)知恵ながら、「臨床の飛躍」はもはや飛躍ではなくなり、新たな理論が構築されるに違いない。
しらけ気味のヒゲ薬剤師⇒●

 悪寒があって咽喉腫痛の風邪の場合、多くは、参蘇飲に銀翹散の併用がよい場合が多いが、時に、このように項背部の凝りが明らかで、無汗であれば、葛根湯と銀翹散(天津感冒片や涼解楽)の併用があり得る。

 但し、ケース・バイ・ケースではあるが、悪寒がある間のみに使用する参蘇飲や葛根湯なのである。
 だから、悪寒、つまり寒気がほどほど取れた時点で即刻中止して、もっぱら銀翹散製剤と板藍根が主体となる。
 もちろん、併存する気管支炎などによっては、小陥胸湯加減方や辛夷清肺湯などの併用もあり得る。

 なお、初期に参蘇飲を用いる理由は悪寒を早く除去する目的だけでなく、「邪の湊るところ、その気は必ず虚す」によるものである。
 つまり、「虚に乗じて邪気に侵され、感冒や流感に罹るという」理論を採用して、多くの場合正解のようであるからだ。
 もっと砕いて言えば、過労が原因で風邪に罹ったのよ、というところ。


10月16日(日曜日) ヒゲ薬剤師が日本古方派を信奉していた当時20年以上前のこと、2月に微熱があるのを無理して釣行後に高熱を発して流感に感染。無汗で咽喉腫痛、全身の関節が痛み、麻黄湯で無効。大青竜湯も無効!結局40度の高熱で動けなくなり、近くの内科の先生に往診してもらって注射まで打ってもらう始末!漢方専門家としては、何ともみっともなかったこと!日本漢方、つまり吉益東洞を師と仰ぐ古方派漢方の時代、こじれた風邪に皮肉にも後世方である柴葛解肌湯で喜ばれることが多かった。普通の風邪なら何とかなっても、高熱を発する初期の風邪や、とりわけ流行性感冒ともなると、葛根湯のみならず麻黄湯や大青竜湯など、さまざまに工夫しても、治ったタメシがなかった。傷寒論、傷寒論といっても、現代社会の感冒には、大した威力が無いじゃないかと、随分落胆したものである。おまけに恥を忍んで、近所の内科医のお世話になる始末。当時は、古方派漢方と併行して学んでいた中医学は、理屈っぽくて微に入り細を穿つ理詰めの論法に、現実の疾患がこのようにクリアカットに割り切れるものかと反発ばかりで、中途半端な理解であった。ところが、自分の流感すら治せない度重なる古方派漢方の無力に、一時はヤケクソ気味。結局は中医学の本質を把握し、日本漢方の優れた点だけを利用して、中医漢方薬学と誇れる段階に到達できたことは幸いであった。もちろん、以後、急性疾患に余裕を持って対処できるようになったのは、イウマデモナイ!
白衣を脱いだらサヨウナラのヒゲ薬剤師⇒●


 中医学をかなり学習して、応用自在に近くなった頃には、流感なんて何のその。
 とは言え、日本古方派漢方の利点は、少し真面目に学習すれば、日常よくある慢性疾患には随分重宝で、慢性頭痛やめまい、食欲不振など、直ぐ得た効能を発揮する漢方処方をアドバイスできる。
また発熱性疾患でも、当時、病院でシバシバ見逃されたり、原因不明の繰り返す発熱に、柴苓湯などの柴胡剤を用いて、随分多くの人によろこばれている。
 だから、古方派漢方の基本方剤を大切に、異病同治の優れた発想を応用しつつ、これに複雑微妙な中医学理論をじっくりと腰を入れて学習すれば、両医学・薬学の優れた点を合体した「中医漢方薬学」流として、かなりオールラウンドなアドバイス、漢方療法を伝授できるようになるのである。
 日本古方派漢方には、少しの学習で、直ぐに臨床応用が可能となる便利さがあるのは、確かである。
 ところが、中医学ともなると、優れた基礎理論に裏づけされた「弁証論治」というやっかいだが、非常に優れた理論があるだけに、日本漢方ほどには、直ぐ直ぐマスターできるほど、やさしくはない。


10月18日(火曜日)風邪に葛根湯というのは神話であると広言していたら、急性疾患でも有用性がある分野を思い出させるかのように、先日に続いて今日も、30歳前の女性が流行性耳下腺炎に罹ったらしく微熱の段階でやって来られた。この女性、いつも風邪の治療を病院で治らず、こじらせて微熱・気管支炎・副鼻腔炎・知歯の炎症を必ず併発して、銀翹散製剤・辛夷清肺湯に2種類の中草薬系のエキスを加えて速効を得るバターンを毎度繰り返す。いつも病院に行ってはこじらせるので、今度は引いたら直ぐに来る、といていたら、今度は様子が違う。子供さんらに流行性耳下腺炎が流行っているとかで、子供が治ったら自分がおかしくなったと、いつになく寒気が強く、項背部が凝っている。まだ耳下腺は腫れてはないが・・・・・これ、葛根湯が絶対に要りますネン! 但し、実を言えば、当方では葛根湯ズバリを使用したことはなく、葛根湯系列の製剤を用い、効能に「感冒及び感冒に伴う頭痛、咳、結膜炎、角膜炎、中耳炎、蓄膿症、鼻炎、肩こり、肩甲部の神経痛、化膿性炎の初期、じんましん、扁桃腺炎、湿疹」と書かれた製剤で、もちろん医薬品。これを中心に、少量の銀翹散製剤と中草薬系の一品を加え、変化があったら直ぐに電話するようにと念を押す。
白衣を脱いだら、タダのオッサン⇒●

 この女性は、体格がよく、丈夫そうなのでちょっと信じられないが、いつも一旦風邪を引くと、病院治療は、何をやっても無効で、ひどくこじらせては、漢方薬で速効を得て治るというパターンを何度も繰り返している常連さん。
 直ぐに漢方に来たほうが、直ぐに治って、かえって安上がりだと、ようやく気がついたばかり。

 ところが、今度の「風邪」は、いつもの風邪ではなかった。
 状況的に見て、流行性耳下腺炎、つまりオタフクカゼに感染した可能性が非常に高い。
 いつもは悪寒がしたあと、直ぐに全体的な熱感と咽喉腫痛・黄痰・黄色のネバイ鼻汁、というパターンとは大いに異なり、微熱・強い悪寒・咽喉部の掻痒感・透明な鼻汁などが特徴的で、項背部が凝って、この暑いのに厚着をしている。
 
 そうなんです! どうやら流行性耳下腺炎の一つのタイプに、葛根湯証が主となるタイプが多く、こじらせると柴胡剤の証候を伴ったり移行することが多い。
 
 多分、今回も比較的順調に好転することであろう。
 葛根湯系の方剤も、このように一部の急性疾患に役に立つこともタマには、アルッテコッスネ。


10月20日(木曜日)15日と18日に、偶然、葛根湯製剤と銀翹散製剤を合方すべき実例を御報告したが、偶然、併行して「実況報告」が出来るので、その後の経過もご報告する。前例は病院治療2ヶ月、ほとんど無駄だった60代の女性。実際には銀翹散製剤「天津感冒片」を1回に2錠と葛根湯系列の個性的な製剤で、エキスと散薬を巧みに配合した「肌主錠」を5錠とし1日3回を2日間で、微熱以外の咽喉・耳下腺の腫れなどの軽快は既に報告済み。その後、天津感冒片の1回量を規定の4錠に増量すると、直ぐに平熱に戻ったのが16日。服用を中断するとまた微熱が、と17日に電話あり。止めるのが余りに早すぎるので、あとは御自分の自覚の問題だとして、病の根深さを認識してもらう。18日の御報告例の若き女性は、悪寒が強く透明な鼻汁が出る間の一日だけ、天津感冒片1錠に肌主錠5錠として1日3回。翌日には悪寒がほとんど取れ、咽喉も楽になったので、天津感冒片3錠と肌主錠3錠。その翌日の19日には、悪寒が完全に消失し、むしろいつもの彼女の風邪パターンの顔のホテリに黄色の鼻汁に変化したので、即刻、肌主錠は中止して辛夷清肺湯と天津感冒片4錠とする。体温36.8分。
そして白衣を脱いだヒゲ薬剤師はどこへ行く?⇒●

 原方通りの葛根湯や麻黄湯は、エフェドリンの製造原料でもある麻黄の配合分量が多く、その強烈さを警戒して、麻黄を控えめにし、散薬まで配合した個性的な肌主錠が安全性も高く、ヒゲ薬剤師好みの製剤である。
 この温暖化の日本では、原方通りの葛根湯は、好きになれない。
 偶然に重なった葛根湯系の方剤を必要とする2名を実況報告をすることになったが、考えてみると、難治性疾患の御相談が断然多い漢方専門薬局ではあるが、急性疾患を扱うことが意外に多い。
 だから、急性疾患だけを中心にした実況報告的なブログをはじめても、充分に個性的なブログを作ることができると思う。
 今のところ、それをやらないのは、なるべく現実に行なっている仕事の実況は、些か気が引けて、なるべくしたくない、という思いがある。
 ほんとうは、この方が、世間的には有用性が高いのだろうが・・・・・。
 それに、ちょっと他にもブログをやり過ぎて、これ以上顰蹙を買いたくない、というのも本音である。

 でも、急性疾患専門のブログだって、やろうと思えば、いくらでもヤレルゾっ!
 悪文でも、しゃべるよりも書くほうが早いくらいだもの。

 なお、後者では板藍根をエキスにした「板藍茶」も一緒に使用している。


10月22日(土曜日)タイトル通りの「漢方と漢方薬の真実」を如何(いか)に伝えるか。このために本サイトのみならず、漢方専門の各ブログを併行してやっているが、ブログを複数併行すべきテーマが多いからである。このサイトは、一般Webサイトであり、別に、各テーマを絞り込んだ漢方薬専門のブログを併行しているのだから、漢方専門ブログの統括司令塔としての役割に移行していくべきか、と思う。そのために、やはり風邪や流感をメインとした「急性疾患」専門の漢方ブログが、もう一つ必要に思われるが・・・・・
ヒゲ薬剤師の本音は⇒●

 実際の本業では、最も相談が多いのは転移ガンや進行ガンの患者さんが最も多く、次いで各種膠原病や自己免疫疾患、だからまたリュウマチの方も多く、漢方薬だけで現象的には無症状になった人は数多い。
 そのほか、さまざまな治りにくい疾患の御相談ばかりが、豊富?である。

 かといって、これらの実例を具体的に連載するのは、些か気が引けるところがある。

 風邪や流感ともなると、ありきたりな疾患だけに、その専門ブログで本格的に連載することに、気が引けるところが、あまりない。
 むしろ、これによって、中医学、中医漢方薬学の実力をお見せすることが出来るんじゃないか、と愚考するものである。