病院からよく出される漢方薬の使用上の注意!

漢方と漢方薬の真実>>病院からよく出される漢方薬の使用上の注意!

日録の10月27日(木曜日) に記したとおり急遽新設。誤投与がダントツなのが「小青竜湯」!    サイトマップ
小青竜湯の誤投与による相談事例が、あまりにも多過ぎるので、特に注意を促すために、ここに掲載するものである。
 その他にもしばしば見られる漢方薬の誤投与の実例の参考文献としては、
漢方薬・漢方専門薬局薬剤師の憂鬱:漢方薬の誤投与も是非、参照されたし!


小 青 竜 湯 (しょうせいりゅうとう) 風邪や鼻炎などで、もっとも誤投与が多い。

 「肺寒停飲」の証候に用いられる方剤である。
つまり、肺が冷えた状態で水っぽいものが停留しているイメージを持つと良い。
 それだけに、アレルギー性鼻炎などで、透明でサラサラした鼻水やくしゃみの連発、とても水っぽい喀痰を伴う、気管支炎や喘息などに応用されるものである。
 小青竜湯は、強く乾燥させる作用があるので、これらの条件に合わない人は、服用すべきではない。

服用してはいけない人 [参考文献:注意が必要な漢方薬(肺陰を損傷しやすい漢方処方)
 ・胃弱な人。
 ・黄色い痰や鼻汁か出る人。
 ・咽喉が乾燥している人。
 ・咽喉がヒリヒリ痛む人。
 ・あきらかな高血圧の人。
 ・あきらかに心臓疾患を抱えている人。


葛 根 湯 (かっこんとう) 近頃は風邪を引いて病院に行くと、この葛根湯を出される医師が、大変多いが、ほとんどのケースが無効である。[参考文献:『漢方の臨床』誌・平成18年新年号における「新年のことば」より

 小青竜湯のように、使用を誤ると多少とも危険性があるというほどでもないが、問題は、風邪に対する効果である。
 寒気がして首の真裏をもんで気持ちいい、という条件下ではじめて有効であるが、これは風邪をひきそう、という段階であって、本当に引き込んだら、滅多なことで効いてはくれない。
 風邪の次の段階、咽喉腫痛と熱感を感じ始めたら、むしろ服用しないほうよい。
 中医学的には温病であるから、銀翹散製剤を主体に、うまく運用すれば、非常によく治る。

 風邪を引きそうなとき、市販薬などを買って服用したり、あるいは大したことはないだろうと放置していたところ、本格的に風邪を引いて、さあ大変だ病院にいかなくっちゃあ〜〜、という段階になって葛根湯を病院で処方されても、ほとんど効かないのは当然である。

 繰り返しになるが、葛根湯が効く段階というのは、寒気がして首が凝る、もしかして風邪を引いたかも、という段階で服用すべき漢方薬で、こりゃ〜^病院に行カニャ〜〜ヤバイ、と思う段階では、ほとんど葛根湯では手遅れ、次の段階、多くは銀翹散製剤が中心で処方されるべき時期に来てしまっている、といことなのである。

 それゆえ、よく市販されている葛根湯配合の各種風邪薬は、本当に風邪を引いてからは、ワンテンポ遅れている可能性が高いから、ほとんど効果は期待できないだろう。

  [参考文献:葛 根 湯 銀翹散製剤 また、風邪の専門ブログ漢方と漢方薬は風邪・流感に本当に有効か? は、風邪に対する葛根湯の「無効性」を実証しつつ、正しい漢方薬の風邪・流感の治療方法を検討しているので参照されたい。]


芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう) 
本方剤の鎮痛効果は時に劇的であり、それゆえかやや乱用気味の問題も散見される。


 中医学的には、柔肝解痙・緩急止痛であり、要するに筋肉痙攣による急激な疼痛に極めて有効である。
 こむら返りなど、たとえばマラソンの選手が足に痙攣を起こしてリタイアと言う時になどが典型的な症例であろう。
 尿路結石による激しい疼痛にも、小生自身が経験していることだが、一時押さえにも気持ちのいい効きかたをする。
 但し、芍薬と甘草の2種類のみの配合方剤であるが、この甘草は大量を継続服用すると偽アルデステロン症などの問題が生じることがあるのは有名な話しで、これらは検索してもらえば、どこでも記載されていることなので、ここではその詳細は述べない。
 具体的な問題とそれに直結する中医学的な問題を指摘しておきたい。
 鎮痛効果そのほかで、医療用の芍薬甘草湯はやや乱用気味で、入院患者に前医が投与していた本方剤を中止してもらうことで、改善を見たというとんでもない実話が某医師から問合せとともにご報告もあったほどである。
 中医学的に根拠のない漫然とした乱用は慎むべきである。
 浮腫が生じたり高血圧を悪化させるなどは日常茶飯事である。
 そもそも日本漢方における芍薬甘草湯の配合比率に問題があるように思える。
 芍薬が6gに対して、甘草も同量の6gというのが問題と愚考する。
 古典の記載がそうだからといって、そのまま墨守していいとは限らないと思われる。
 たとえば、中国での芍薬甘草湯の治験例を詳細に調査したことがあるが、日本のように各同量を使用した例は見たことがない。
 いずれの場合も、すべて芍薬は大量に使用しながら、甘草の方は芍薬の半分以下、3分の1以下ということも多い。
 自分自身の経験でも、甘草3gに対して芍薬は12〜15gにすることで十分な著効を得て、比較的長期に連用しても問題が生じなかった。
 その伝で、身内の何人にも試験して見たが、証にあっているだけに様々な疼痛関連の疾患を気持ちよく副作用ナシに連用できた。
 芍薬6gと同量の甘草6gは、多過ぎると愚考するものである。
 以上の理由から、やや乱用気味の医療用「芍薬甘草湯」にも軽度の副作用が生じているケースをしばしば目撃することになるのであろう。