漢方薬局薬剤師日録(9) 10月10日〜

漢方と漢方薬の真実>>漢方薬局薬剤師日録(9)


10月10日(火曜日)本サイト以外にも複数運営しているHPやブログでは、その一部で本業の漢方専門薬局の広報サイトとブログがあるが、案に相違せず(笑)頑固ジジイの面目躍如たる内容だと自画自賛しているところである。
 ところが、ややトウヘンボクな主張にも拘らず、今頃になってHPやブログの効果が見え、遠方から泊りがけでヒゲ薬剤師の漢方薬を求めて来られる人が少しずつだが増え続けている。
 お気軽なご相談や、お気楽な御相談は御遠慮下さい、真剣・真面目な御相談だけを受け付けますという趣旨なのだが・・・

 二泊三日や一泊二日で来局される人が毎日のように続き、時には同日に複数となる場合がある。
 それでも徹底的に手間隙・時間をかけて綿密な漢方相談を行うので、時にお互いにへとへとに疲れる場合があるが、地元の漢方を試みて治らなかった人達ばかりだから、皆さんとても真剣なのである。
 物見遊山や及び腰、あるいは時間がないといって時計ばかりを見る人は、恐縮ながら門前払いとなる実に横着な薬局である。
 そのかわりに本気で真剣・真面目で思い詰めたような気迫で来られる方には、古びたアンテナでも突然感度が良好となり、気合が入るのは当然のことだ。
 多くの人が、過去、30日分ずつまとめて購入を強いられている分、なかなかピントを合わせてもらえずに苦労された挙句、意を決して本州の西の端までやって来られるのであった。


 とくに人気があるのは
漢方と漢方薬の質疑応答集と村田漢方堂薬局の近況報告
 である。これを御覧になって意を決してこられる人が増えているのだから不思議である。実際にはとても厳しいことばかり書いているのに、それだけに来られる人のマナーは抜群に良く、日本人もまだまだ捨てたもんじゃないな〜〜と思うほどだ。

 ところで、これに気を良くしたのではなくて、HP制作の技術を次第に修得してくると、スタイルシート(CSS)を主体にしたHPをソフトを殆ど使用せずにもっぱら手打ちで制作してみたくなる。
 まったく本末転倒気味ではあるが、本業では得意分野の一つである「アトピー性皮膚炎」の一般向けサイトを制作したいものだと現在計画中である。
 すでに拙論集として漢方と漢方薬によるアトピー性皮膚炎研究変遷史があるが、これはむしろ専門家向けであるから、一般向け広報サイトとして作りたいのである。
 目的は村田漢方堂薬局の宣伝は半分以下で、覚えたての技術を活かして新たなホームページ制作をやりたいというのが本音である。

 まずはどんなURLにするかを思案するのも楽しみの一つで、次第に自分自身がマニアックになっていくのを、ややブキミに思はないでもないのであった。


10月25日(水曜日) 今はやりのメタボリック症候群に対するブームは、またまたこの大騒ぎが好きな日本人らしい社会現象となっているが、漢方薬にも優れた製品が日本国内で販売されていることを知る人は案外すくないだろう。
 こう書くと、直ぐに漢方界では「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」と言いたいのだろうが、独断と偏見で敢えて言わせて貰えば、あのようなやや支離滅裂な方剤とは訳が違う。
 九味半夏湯の加減方剤である製品名「扁鵲(へんせき)」である。建林松鶴堂から販売されている、やや飲みにくい粉末製剤であるが、れっきとした医薬品として「脂肪過多症」の効能を有する効果抜群の漢方製剤である。

 腹回り85cmの攻防でかまびすしい昨今の「メタボリックシンドローム」シンドロームというべき日本社会の椿事は、今年の流行語大賞を受賞しかねない勢いである。
 敢えて不謹慎な表現を取らせてもらえば、この「扁鵲(ヘンセキ)」という、まさにメタボリック症候群に対する効果抜群の漢方薬こそ、テレビ等で大宣伝を打てば、一大ブームを巻き起こす優れた漢方薬として薬業界の歴史に残るであろう大ヒット商品となること請け合いである。
 それほど高く評価するのは、この飽食の時代、食わずに走れ、とすげない応対ばかりしているヒゲ薬剤師ではあるが、実際にこの扁鵲を使用して腹回りがドンドン萎んでいった実例を何人も見ているからである。
 但し、これはれっきとした医薬品であるから、必ず販売店で薬局の薬剤師に直接適応症であることを確認して求めるべきである。
 これ以上痩せては困る若い女性までが、誤って使用されては困るから、販売店側のチェックは絶対に欠かせない。


11月11日(土曜日) 漢方薬の服用時間についての御質問 ←ブログ「漢方と漢方薬の質疑応答集と村田漢方堂薬局の近況報告」11月10日の記事。
 日本国内では漢方薬の服用は、食前や食間というのが常識と化しているが、果たして本当にそれが正しいといえるのかどうか?
 常識と思えることが意外に非常識に近いこともママあるので、気をつけたほうが良い。


11月22日(水曜日)メタボリック症候群に有効な漢方薬「扁鵲(へんせき・ヘンセキ)」のことを本サイトやブログにも様々に「メタボリック症候群の取材に医療ジャーナリストの旭丘光志氏が来局される」「メタボリックシンドロームやダイエットにはずばり漢方薬「扁鵲(へんせき)」(建林松鶴堂)」など書いているが、実際には本年になってヒゲ薬剤師の薬局での販売量が激減している。
 食わずに走れ!のイヤミな発言が影響したものと思い込んでいたが、何のことはない!ネット上では安売り合戦たけなわの医薬品だったのである!!!
薬系漢方業界も弱肉強食時代に突入間違いなし!
まさに弱肉強食を証明するかのように真っ先に反応した漢方製造メーカーさん
漢方薬も安売り合戦に突入して本末転倒の時代到来か?!


 実際にはヒゲ薬剤師の薬局では真っ向から対抗してどこよりも安価に販売しているつもりだが、やっぱり
食わずに走れ!」の老婆親切が聞くに堪えないヤワナ日本人ばかりであるに違いない。


11月27日(月曜日) 「傷寒、金匱のみをバイブル的存在とし、あくまで方証相対にこだわるならば、そこには理論の発展もないし、学問の進歩もなくなることになります。これでは既に学問ではありえないし、自ら科学を否定しているようなものに見られます。科学には絶え間ない進歩と発見がなければならない筈です。
 これからの日本の伝統医学の発展の為には、今の漢方が東洋哲学を確立し、中医学の基礎理論を導入し、日本漢方の良いところと結合して、新しい日本の漢方医学をうちたてるべきだと信じております。」
 と述べられた18年前のC先生のお手紙⇒18年前のC先生による「中医漢方薬学論」に対する評価


 以下、C先生に頂いたお手紙の全文

 拝啓
 先生には過分のご評価をいただき、大変恐縮しております。私の拙文で宜しかったら御遠慮なく御引用下さってかまいません。私もライフワークとしてこの日本に一人でも多くの医療関係者が中医学に御理解を願い、その普及と向上を志しております。
 最近の先生のお書きになった論文を「和漢薬」「漢方の臨床」等の雑誌で拝見させていただきました。大変論理的でしかもきめ細かく展開しており、きっと多くの同道の志に大きなはげましになる事でしょう。
 中医学はもともと薬学から発展しており、中国では、ごく最近まで大きな薬店の主人が著名な中医師になっていました。新中国になってからはそれぞれ分業するようになりましたが、今でも大きな薬店では中医師を雇って、待合室の一角で患者さんを診ている実状です。
 又、現在の中国では、国内の少数民族の伝統医学を尊重し、その保護、育成に努めております。例えば、東医(朝鮮族)、蔵医(チベット族)、蒙医(蒙古族)等それぞれの特徴を生かした医学が発展しております。しかし、これ等は皆、中医学の理論を基礎にしている事は言うまでもありません。そういう意味では日本の古方派漢方は特異な存在と言わなければなりません。それに東洋哲学が全く無視されている不思議な存在でもあります。先生の論説には全く賛同しており、心から敬服しております。
 傷寒、金匱のみをバイブル的存在とし、あくまで方証相対にこだわるならば、そこには理論の発展もないし、学問の進歩もなくなることになります。これでは既に学問ではありえないし、自ら科学を否定しているようなものに見られます。科学には絶え間ない進歩と発見がなければならない筈です。
 これからの日本の伝統医学の発展の為には、今の漢方が東洋哲学を確立し、中医学の基礎理論を導入し、日本漢方の良いところと結合して、新しい日本の漢方医学をうちたてるべきだと信じております。
 しかし、日本の現状はなかなか厳しく、一部の派閥的な感情的な意識を持つ人にはわれわれの絶え間ない働き掛けで中医学への理解をしていただくしかないのではないかと思っております。特に若手の専門家の中にそのような人がいる事は大変残念なことです。それでも、私が10年前に予想していた以上に中医学が普及してきた事は大変喜ばしい事ですし、時代の流れをひしひしと感じます。時代の流れに逆流する人は所詮蟷螂(とうろう)の斧にすぎません。
 先生には若手の論客として非常に期待を寄せております。新事物の導入は一朝一旦には事は成りません。地味で絶え間ない努力が要求されます。私もまだ中医学については未熟ですし、勉強中の身です。まだまだ学習する事がいっぱいあります。これからも同学のよしみでお互いにガンバリましょう。
 以上、私の率直な意見を遠慮なく述べさせていただきました。もし、失礼なところがありましたらご容赦下さい。
 奥様には宜しくお伝え下さい。
                  敬白

1989年2月10日
                  C拝


12月17日(日曜日) 「漢方と漢方薬の真実」という本サイトのタイトルの根源的な本質をズバリ短い言葉で要約するなら以下の通りである。
 真正の漢方医学における疾病観は、
 五臓間における気・血・津液の生化と輸泄生成・輸布・排泄)の連係に異常が発生し、過不足が生じたときが病態である。
 それゆえ、五臓それぞれの生理機能の特性と五臓六腑に共通する「適度な流通が必須である」という性質にもとづき、病機(病理機序)と治法を分析する。
 具体的には、
 @病因・病位・病性の三者を総合的に解明し、
 A気・血・津液の昇降出入と盈虧通滞量的な過不足流通の過不足)の状況を捉え、定位・定性・定量の三方面における病変の本質病機=証)を把握する。
 これらの分析結果に基づき、
 病性の寒熱に対応した薬物を考慮しつつ、
@発病原因を除去し、
A臓腑の機能を調整し、
B気血津精の疏通や補充を行う。

 以上が漢方医学における疾病観であり治療学でなければならないと考えている。


12月20日(水曜日) 前回のようにちょっと難しいことを書くと、直ぐにクリック数がダウンしてしまう。世の中、どうしても安易な方向ばかりに流れていく風潮はどうしようもないにしても、漢方薬の世界がどのような時代になろうとも、それほどイージーなものに成り下がるはずもない。
 世間で思われるほど、お気軽に使ってお気楽に効果を発揮するほど楽なものではない。たとえば昨今、精神科や神経内科系統の病棟では、医療用メーカーの奨めもあって、抑肝散加陳皮半夏エキス製剤が盛んに投与され続けている。
 ところが陰虚内熱のタイプのご老人も多いのだから、当帰・川芎が配合された方剤なるがゆえに、猛烈な痒みを生じているのに、単なる老人性の乾燥肌による瘙痒であるとしてステロイド軟膏のみならず、派手に内服薬が投与される始末である。
 そのような体質のご老人に敢えて抑肝散を投与したければ、六味丸と適量の黄連解毒湯を併用するくらいの弁証論治があり得るはずだが、病名治療的な投与ばかりが行われるので、抑肝散による明らかな副作用に気付かぬまま、対症療法のステロイド剤が増える一方である。
 漢方の真の専門家なら直ぐに見抜ける副作用だが、西洋医学の一般医師にとっては結局は製薬メーカーの外交さんの奨めるがまま、医療費の無駄使いをしつつ患者さんを苦しめているだけという現実には、目を覆いたくなる。
 知らぬが仏で、かく言う小生も見なければいいものを見てしまい聞こえてしまうので、言わなきゃいいのにどうしても本音をぶちまけたくなるのだった!


<2006/12/31(日曜日)
 いよいよ今年最後の日を迎えた。したがって今日はあまりカタグルシイ事は書かない。
 その代わりにチョット耳寄りな話?を書いておこう。
 グーグルとかヤフー、あるいはmsnなどの大手検索エンジンさんの検索窓を使って「漢方薬学」を打ち込んでクリックしてみて欲しい!
 これを間違って「漢方薬」と打ち込んではいけない。必ず「漢方薬」というように「」を入れないと意味がない。

 どうです?! 検索結果を見て驚くことでしょう?!
 われらが 漢方薬のMKDYネット に所属する中医漢方薬学派のサイトやブログのオンパレードですよ?!


2007/01/07(日曜日) 熊胆(ゆうたん=くまのい)の点眼薬
 たとえば虹彩炎などの眼科疾患の治療は、もっぱら対症療法としてステロイド点眼薬が主体であるが、体質によっては過敏に反応して、眼圧が上昇するよりも前に、ぐったりと体力を喪失してひどい鬱傾向を来たす人がある。
 これを漢方内服薬で治療するには、相当に高度な弁証論治に基づいた知恵と工夫を要するものである。ところが、意外に知られてないのが漢方点眼薬である。
 同業の薬剤師に相談されて、中薬学書籍でしばしば目にする熊胆(ゆうたん=くまのい)の点眼薬を試験的に使用してもらったところ、優れた消炎作用に驚いている。
 少なくともその人にとっては、あらゆるステロイド点眼薬よりも効果があり、しかも一年半以上使用して全く副作用がない。かかりつけの眼科医の先生にも、明らかな熊胆点眼薬の効果を認めてもらっており、しばしば生じていた虹彩炎が熊胆点眼薬を使用して以来、ほとんど生じることもなく、タマに気配を感じたときには濃度を上げることで直ぐに治まっている。
 なお、有資格者(薬剤師自身)の自己責任において行っている試用であり、効果についても眼科医による確認も得られているものの、医師による処方で無い限りは一般の人は使うことは出来ないので、念のため!


2007/02/01(木曜日) 『漢方の臨床』誌、1月号のM氏の「新年のことば」の転載(93頁に掲載分)

タイトル⇒「健康食品>漢方薬」と分類するネット界の迷妄


 新年、おめでとうございます。
 世の中はますます情報源をネットに求める時代が加速する一方で、テレビのコマーシャルでさえ、「詳しくはネットで御覧下さい」という言葉とともに、画面上にURLが大きく映し出される前代未聞の時代が到来しています。
 ところが、このネット上に飛び交う情報というのが、玉石混交! タイトルの問題にしても、世界で一〜二位を争う超ビックなポータルサイトであり検索エンジンでもあるサイト上においてなされる分類ですから驚きます。
 早速、直接メールをお送りして抗議しましたが、取り付く島もありません。

 「 ビジネスと経済 > ショッピングとサービス > 健康 > 健康食品 > 漢方薬」
とされる分類は間違いだと存じますがいかがでしょうか?
 そもそも「漢方とは中国から伝来した医術であり、漢方薬は漢方で用いる草根木皮や動物類を原料とした医薬」であるはずです。

 という抗議に対して、あくまで便宜上だとの言い訳で、間違った分類である自覚はありながら、単なる商売上の便宜的な分類であると強弁した返事が帰って来ただけです。
 一犬虚を吠ゆれば万犬実を伝う(いっけんきょをほゆれば ばんけんじつをつたう)のたとえ通り、誰かが好い加減なことを言い出すと、皆がそのように信じ込んで、間違ったことでもいかにも真実のように広まってしまう。
 ましてや超ビッグなポータルサイトさんでやられたのでは、やんぬるかな。
 さらには常々多くの問題を指摘されている漢方薬を含めた医薬品のネット通販(具体的な医薬品をサイト上に陳列・掲載した買い物カゴ等によるお誘い販売)を率先して行い、また積極的にテナントを募集しているのもこのような大手ポータルサイトなのですから、どうしようもない病根がネット界には巣食っているように思えてなりません。


<2007/02/13(火曜日) 
性別: 女性
年齢 :10歳〜19歳
ご職業 : 学生
お問い合わせ内容 : 初めまして、こんにちは。
 私は17歳の女子高生です。 私は赤ちゃんのころにあったアトピーが15歳のころに再発しました。
 それからずっと病院に行って、ステロイドを塗り続けているのですが、一向に改善されていません。
 先日、インターネットで「紫イペ」がアトピーに良いというのを見ました。 それは本当なのでしょうか?
 また、「高麗人参」にはそのような作用はないのでしょうか?


ヒゲ薬剤師のお返事メール

 拝復
 アトピー性皮膚炎は、「紫イペ」や「高麗人参」で単純に治るほどやさしい病気ではありません。
 たとえば「高麗人参」などは、体質によってはアトピー性皮膚炎を却って悪化させることも多いので、素人療法は絶対に禁物です。

以上、簡単ながらお返事まで。